リハビリログ

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リハビリについて、身体について学んだことをわかりやすく若手セラピストに向けてまとめ伝えていきます。

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新しいブログへ移行した

 新たにブログを開設し、そちらのほうで、これから、記事を書いていきたいと思います。

 

こちらで書いた記事は、改めて編集したものを新しいブログに載せます。

 

また、新しい記事も上げていきますので、これからもよろしくお願いします。

 

新しいブログ:Re‐Body&Health

     ↓

https://toyama-riha.com/

小殿筋の機能! 股関節にとって重要なの知ってますか?

 今回は、最近、勉強していて面白いと思った小殿筋の機能について!

 大殿筋や中殿筋は、よく聞くけど、小殿筋はあんまり聞かないですよね。

 実は、小殿筋は、股関節が円滑に、機能的に働くうえで重要なんです。小殿筋が機能しないと股関節はうまく動かず、大殿筋や中殿筋は機能しなくなります。

 

『なぜ、小殿筋が股関節が動くうえで重要か』を詳しく、説明し行きましょう!

 

 小殿筋の解剖学

 まずは、基本的な小殿筋の解剖学!

 

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 小殿筋は、中殿筋の深層に位置する筋です。起始・停止、作用は、上記の図の通りです。

 

 注目するポイントは、股関節の関節包に一部停止するというということです。

 

 つまり、股関節の動きに大きくかかわるということです。そのため、関節包の挟み込みなどを防ぎ、股関節が円滑に動くためには、小殿筋が働く必要があります。

 

小殿筋の機能

 ・小殿筋の大きな機能は、股関節のインナーマッスルとして働くということです。

 

 小殿筋は、大腿骨頸部と平行に走行しており、大腿骨頭を関節窩に押し付けるように作用します。つまり、大腿骨頭を求心位に保つ働きがあります。

 大腿骨頭を求心位に保つことで股関節が安定し、大殿筋や中殿筋が働きやすくなります。

 

片脚立位での筋活動が中殿筋よりも小殿筋の方が高いいう報告もあります。

 

 この報告より片脚立位が困難で外転筋の機能不全が原因の場合、中殿筋の問題よりもまず小殿筋の機能不全が疑われます。そのため、小殿筋の機能の評価が重要になってきます。

 

小殿筋の運動療法

 小殿筋の運動療法のポイントは、

・低負荷運動

・股関節外転20°での外転運動

・股関節屈曲位での内旋運動 

 

 小殿筋は、中殿筋よりも筋断面積が小さいため大きな筋力を発揮しずらい筋である。また、最大随意筋力の20%での負荷量の外転運動にて中殿筋の筋活動を最も抑え、小殿筋を選択的にトレーニングできるという報告もある。そのため、小殿筋の筋力を強化する際は、低負荷での運動が有効です。

 

 小殿筋の作用は、外転・内旋である。そのため、股関節内旋運動、外転運動にて強化することが可能です。

 股関節の外転運動では、外転0°より外転20°の方が筋活動が高いとの報告がある。そのため、小殿筋を選択的にトレーニングするためには、股関節外転20°での運動が有効です

 

 臨床的には、股関節屈曲位での内旋運動は、THAなどの脱臼肢位となり、利用できない場合がある。そのため、臨床でよく利用する運動としては、

低負荷の股関節外転20°での外転運動です。

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まとめ

  今回は、小殿筋の機能についてまとめました。

 小殿筋は、股関節のインナーマッスルとして働き、大腿骨を求心位に保つ働きが重要になります。

 さらに、片脚立位でも大きな役割を果たしているため、立位での動作では、欠かせない筋です。

 今後は、小殿筋の機能の評価も必要となってきますね!

 

今回、参考にした本はこちら

 
 
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

足関節背屈制限〜筋・組織から見る可動域改善のポイント〜

 今回は、足関節背屈制限の原因となる組織についてです。

制限因子となる大きな組織は、

・下腿三頭筋

・長母趾屈筋

・脂肪体(Kager's fat pad、Pretaler fat pad)

これらが足関節背屈制限に大きく影響する筋や組織です。

では詳しく、まとめていきましょう。

 

 足関節背屈運動

 足関節背屈は、基本的に距腿関節の動きです。そのため、この距腿関節の関節運動が制限されることで背屈制限が起こります。 足関節背屈時、距骨が後方へ滑るように動くことで、脛骨・腓骨からなる関節面にはまり込むように動きます。

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 つまり、この距骨の後方滑りが阻害されることで足関節の背屈制限が生じてしまいます。

 

 足関節背屈は、距腿関節以外にも、荷重下では、距骨下関節、下腿など他の関節の動きも影響してきます。前回の記事で足関節背屈の運動についてまとめたのでより詳しく知りたい方は、下記の記事 を読んでみてください。

fuji-riha.hatenablog.com

 

足関節背屈制限因子

下腿三頭筋

 足関節背屈制限と聞いて、まず原因として考えるのが下腿三頭筋ですよね。

 下腿三頭筋は、腓腹筋(内側頭、外側頭)とヒラメ筋から構成されており、腓腹筋が2関節筋、ヒラメ筋が単関節筋です。そのため、どの筋が柔軟性が低下しているか評価する際は、

 

・膝関節伸展位での背屈制限 → 腓腹筋

・膝関節屈曲位での背屈制限 → ヒラメ筋

 

 もう一つ重要ポイント!

 下腿三頭筋は、踵骨に付くため、荷重時の背屈時の踵骨の動きにも関与します。

下腿三頭筋は、踵骨の停止部で3つの筋が捻じれてついています。腓腹筋の内側頭は踵骨の外側、ヒラメ筋は踵骨の内側、外側頭は踵骨の外側もしくは中間につきます。

ということは、

 

・踵骨の回内制限 → ヒラメ筋の柔軟性低下

・踵骨の回外制限 → 腓腹筋内側頭の低下

 

が考えられます。

 

長母趾屈筋

 長母趾屈筋は、距骨の後方にある長母趾屈筋溝を通るため、柔軟性が低下すると距骨の動きを阻害します。

 

 母趾伸展位での背屈制限 → 長母趾屈筋

 

 長母趾屈筋が背屈を制限する要因としては、柔軟性の低下と脛骨との癒着の2つがあります。この2つを区別する方法として、

足関節軽度底屈位で母趾の屈曲運動を行います。

・母趾の自動運動ができる場合  →柔軟性低下が原因

・母趾の自動運動ができない場合 →脛骨との癒着が原因

 長母趾屈筋が原因となる要因が柔軟性低下の場合はストレッチ、癒着が原因の場合は脛骨と長母趾屈筋の滑走性を改善する必要があるため、アプローチの仕方が異なります。

 

Kagger fat pad

  Kagger's fat padは、アキレス腱と長母趾屈筋、踵骨の間にある脂肪組織です。

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 Kagger's fat padが癒着や繊維化することで、硬くなり滑走性が低下します。それによってアキレス腱や長母趾屈筋の動きの阻害や距骨の後方への運動を阻害し、背屈運動が制限されます。

 Kagger's fat padを定量的に評価する方法は、今はないため触診にて評価します。

Kagger's fat padの動きとしては、

 

・足関節背屈時 → 周囲に広がるように動く

・足関節底屈時 → アキレス腱の後方に集まるように動く

 

このように足関節の底背屈運動に合わせながら、脂肪体の滑走性を改善していきます。

 

Pretaler fat pad

  Pretaler fat padは、距骨の前にある脂肪組織です。

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 上の3つは距骨より後方の組織であったのになぜ、前方にある組織が影響するの?となると思います。

 Pretaler fat padが制限因子となる場合は、

 

・足関節背屈時 → 足関節の前方につまり感がある

 

 Pretaler fat padの滑走性が低下すると、背屈時に距骨が後方へ滑ろうとする際に硬くなった脂肪体が邪魔をして、動きを阻害します。そうなることで、つまり感が生じ、背屈運動が制限されます。

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 後方の組織だけでなく、前方にある脂肪体を見る必要がありますね!

 

まとめ

  今回は、足関節背屈制限因子となる、筋や組織についてまとめました。

 後方の組織だけでなく、前方の脂肪体が制限因子となる場合があるので見る必要がありますね。

 前回の骨の動きだけでなく、その骨の動きを制限している組織が詳しく分かれば、よりアプローチ方法が明確になります。

 

今回、参考にした本は、こちら

 

 最後まで読んできただきありがとうございました。

 

足関節背屈制限〜骨の動きから見る可動域改善のポイント〜

 臨床において、どんな疾患においても、足首が硬いや足関節の背屈が全然ないってことを感じたことがあるのではないでしょうか?

 足部は、骨がいっぱいあってよくわからない、ストレッチするけど可動域が変わらないということを思ってる人も多いかと思います。

 そこで今回は、足関節背屈可動域制限を改善させるための、評価・治療ポイントをまとめていきます。

 

 足関節背屈の運動学

 足関節背屈の正常可動域は、20°とされています。主な動作として、歩行では10°、ランニングでは30°必要ともいわれています。

 

非荷重下での足関節背屈

 基本的には、足関節の背屈動作は、距腿関節の動きです。そのため、距腿関節が正常に動くことは、重要です。

 足関節背屈時、距骨は、脛骨・腓骨からなる関節面に対し、後方に滑るようにして動きます。この動きが阻害されると、足関節の背屈可動域は制限されます。

 

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荷重下での足関節背屈

 荷重下においては、荷重がはじめにかかる場所が踵骨であるため、踵骨の動きが上方と下方のそれぞれの関節に伝わり、機能的な背屈動作が起こります。そのため、荷重下においては、距骨下関節の運動が大きく足関節の背屈に影響されてきます。

下記に踵骨の動きに伴う、それぞれの関節の動きをまとめます。

上行性連鎖(上へと伝わる力)

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下降性連鎖(下へと伝わる力)

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上行性の連鎖が起こることで距腿関節の関節面が一致し、正常の背屈動作が起こります。

下降性の連鎖が起こることで、荷重時の適度なアーチの低下がみられ、機能的な背屈運動がみられます。

これらのどこかの関節運動が阻害されても、機能的な背屈運動は、できないため、それぞれの関節の評価が必要です。

 

足関節背屈制限の評価ポイント

上記で荷重下に見られるそれぞれの関節の動きについて説明しました。

関節の動きをみて、わかるように踵骨から運動が開始するため、足関節背屈制限を評価・治療していく上で優先してみる順番は、

①距骨下関節・距腿関節

     ↓

②下腿・ショパール関節

     ↓

③第一リスフラン関節  となります。

では、それぞれの関節の評価方法をまとめていきましょう。

距腿関節・距骨下関節

 距腿関節

 距腿関節を中間位の状態で足関節を背屈させ、距骨の後方滑りがみられるかを評価します。

 制限がある場合は、距骨の後方滑りが阻害されている可能性が推測されます。

 距骨の後方滑りを阻害する因子としては、アキレス腱の柔軟性低下、長母指屈筋の柔軟性低下、距腿関節後方組織の短縮などが考えられます。

距骨下関節

 距骨下関節の動きは、足部や距腿関節へと大きく影響するため、必ず評価する必要があります。

 距骨下関節は、踵骨の回内可動域があるかを評価していきます。踵骨の回内制限は、荷重下での背屈制限因子となります。

 踵骨の回内が制限される因子としては、屈筋支帯の柔軟性低下などが考えられます。

下腿・ショパール関節

下腿

 下腿は、荷重時に内旋するため、下腿の内旋可動域を評価していきます。

 立位にて膝蓋骨と脛骨粗面の位置関係で下腿の回旋を評価します。脛骨粗面が膝蓋骨幅の外側にあれば、下腿が外旋しているため、内旋可動域が制限されています。

 下腿の内旋可動域が制限される因子としては、膝の外旋筋である腸脛靭帯や大腿二頭筋の柔軟性低下、腓骨に起始部を持つ、腓骨筋、長母指屈筋の柔軟性低下、内側ハムストリングスの機能低下が考えられます。

ショパール関節

 ショパール関節は、外返しの可動性を評価していきます。

ショパール関節は中足部の柔軟性と大きく関連し、外返しで柔軟性が増加し、内返しで剛性が高まる。そのため、適度な内側縦アーチの低下が起こるために、外返しの可動性は重要です。

第一リスフラン関節関節

 荷重時の適度な内側縦アーチの降下には、第一リスフラン関節の背屈が必要です。そのため、第一リスフラン関節の背屈の可動性を評価します。歩行においては、第一リスフラン関節は立脚中期までの5°必要とされています。第一リスフラン関節の背屈制限因子としては、長趾屈筋、長母指屈筋、足底腱膜の柔軟性低下が考えられます。

 

まとめ

  今回は、足関節背屈可動域制限を改善するための評価ポイントについて説明しました。足関節背屈動作においてまず大切なのは、

距腿関節、距骨下関節の可動性

です。この2つの可動性の評価は、必ず必要であり、その後、他の関節を詳しく評価していく必要があります。

 今回、参考にした本はこちら

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

運動するときのフォーム、基準~ニュートラルポジションの重要性~

 より効率の良い動作を行うために、動作には正しいフォーム、基準となる動作があります。野球でのバッティング、サッカーでボールを蹴る動作、歩行も正常歩行があり、それぞれの動作には、フォームがあります。そして、我々理学療法士は、そのフォームを元に動作を分析し、逸脱した点を見つけ、より良いフォームへ改善するために、治療を展開していきます。

 では、臨床で利用する、ブリッジなどの運動療法には、そのようなものは、ないのでしょうか?

 運動療法にもフォーム、基準となる姿勢はあるのです。今回は、運動療法のフォームの基準となるニュートラルポジションについてまとめていきます。

 

 ニュートラルポジションとは?

 では、ニュートラルポジションとは何でしょう?

ニュートラスポジションとは、仰向け、うつ伏せ、四つ這い位など様々な姿勢をとった際、脊柱が生理的な弯曲を保っており、前面の筋群、後面の筋群が協調的に働いている姿勢のことを言います。このニュートラルポジションを維持した状態で運動を行うことで身体の一部のみに負担かかったりせずに、運動することができ、効率の良い動作となります。また、ニュートラルポジションが崩れた場合は、代償動作がみられます。その代償動作によって、短縮筋や弱化筋の予想できたり、運動の負荷を調節することができます。

 このように基準となるニュートラルポジションを知ることで、効率の良い動作、筋バランス、運動の負荷などがわかるということです。

 様々な姿勢によってニュートラルポジションがあるので、ここでは、仰向けと四つ這いのニュートラルポジションと運動療法の例を紹介しいていきましょう!

仰向けのニュートラルポジション

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  • 足と膝の向きをそろえ、坐骨幅(こぶし一個分)に開く
  • 骨盤の前方トライアングル(両ASISと恥骨からなる三角形)が床と平行
  • 第10肋骨とASISが一直線上にある
  • 乳様突起と肩峰が一直線上

 仰向けの運動を行う際は、まずスタートポジションとして上記の4つのポイントが満たされているか確認します。

 特に運動中、注意してみるポイントとしては、膝の向き、ASIS・第10肋骨の位置です。上記の部位の位置が変化しやすいため、代償動作がみられないか確認しながら運動を進めていきます。声かけなどしながら代償動作を修正し、5-8回程度動作ができた場合、適切な負荷であると考えられます。また、声かけなどしなくても代償動作がみられない場合は、負荷は低いため難易度を上げてもよいでしょう。逆に、声かけでも修正が困難であれば、運動の難易度を下げ、負荷量を減らす必要があります。

仰向けの運動療法と代償動作を1つ例として紹介していきます。

テーブルトップ

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 まず、膝関節90°屈曲位で、仰向けのニュートラルポジションを取ります。

その姿勢から片脚ずつ股関節を屈曲させ、股関節、膝関節90°屈曲位の状態で保持します。この状態で、ニュートラルポジションが崩れないか確認します。

【よく見られる代償と原因(代償動作→考えられる原因)】

  • 骨盤の後傾(ASISが下がる)→腸腰筋の弱化、多裂筋の弱化、腹筋群の短縮
  • 腰椎の前弯(ASISが上がる)→腹筋群の弱化
  • 骨盤の回旋        →片側の腹筋群の弱化
  • 股関節の内外旋      →股関節外旋筋群、殿筋群の短縮・弱化

これは、よく見られる代償動作の一部であり、患者個人によってみられる代償動作は異なります。このように、代償動作がわかることで、弱化している筋や短縮している筋を予想することができます。 

四つ這いのニュートラルポジション

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  • 後方トライアングル(両PSISと尾骨からなる三角形)
  • 第10肋骨とASISが一直線上
  • 乳様突起と肩峰が一直線上
  • 股関節と肩関節が90°屈曲位
  • 翼状肩甲がみられない

 四つ這い位においてもまず上記のポイントが満たされる姿勢をとることができるかを確認します。

 四つ這い位で、注意してみるポイントは、頭の位置、肩甲骨の位置、ASIS・第10肋骨の位置です。特に上記の部位の位置が変化しやすく、代償動作がみられやすいため、確認しながら運動を進めていきます。四つ這い位の動作でも声かけなどしながら、代償動作みられずに5-8回動作ができれば、適切な負荷であると考えられます。声かけなしで代償動作がみられなければ、動作の難易度を上げ、逆に声かけでも修正できなければ、難易度を下げる必要があります。

 四つ這い位の運動療法と代償動作を紹介していきます。

スイミング(修正)

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 まず、四つ這い位のニュートラルポジションを取ります。

ニュートラルポジションを保ちながら、片脚を伸ばし、代償動作が出ない範囲で床から持ち上げる。上げた脚と反対の腕を持ち上げて、その姿勢を保持する。この運動を左右交互に行う。上肢・下肢を挙上した状態でもニュートラルポジションが崩れないかを確認しながら行う。

【よく見られる代償と原因(代償動作→考えられる原因)】

  • 腰椎が前弯(ASISが下がる)     →腹筋群の弱化、殿筋群の弱化
  • 翼状肩甲がみられる         →前鋸筋の弱化、小胸筋の短縮
  • 胸椎の屈曲(胸椎の伸展がみられない)→脊柱起立筋の弱化、大胸筋の短縮
  • 頭が下がる             →椎前筋群の弱化、後頭筋群の短縮

四つ這い位においても、これは、よく見られる代償動作の一部であり、患者個人によってみられる代償動作は異なります。このように、代償動作がわかることで、弱化している筋や短縮している筋を予想することができます。また、四つ這い位は、代償動作がみられやすい運動でもあるので、負荷量の調節は常に意識して行う必要があります。

 

まとめ

 今回は、運動療法の基準となるニュートラルポジションについてまとめました。

仰向け、四つ這い位の2つの運動療法での見るべきポイントについて記載しましたが、他にもうつ伏せ、側臥位などたくさんの姿勢での運動療法があります。どの姿勢でも基準となるのが、骨盤の傾き、脊柱の生理的弯曲が保たれていることです。

 基準となる姿勢、フォームを知ることで、代償動作が見れるようになったり、運動の負荷が適切かどうか判断することが可能となったり、筋の弱化・短縮などの評価が可能となります。つまり、一つの運動療法からたくさんの情報が得られるようになります。

 この記事を参考に明日からの臨床での運動療法の参考にしてみてください。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 


 

着座を見逃してない?着座の重要性と立ち上がりとの違い

 基本動作に関しての教科書などを見ても立ち上がりに関しては、詳しく書いてあることが多いです。学生の動作分析でも、立ち上がりは観察するけど、着座は分析していない人が多い。実際のリハビリ現場でも立ち上げって、歩行訓練を行い、何気なく座るということは、あるのではないのでしょうか。

 実際、着座も重要な動作であり、日常生活にて立ち上がった場合、座るという動作は合わせて行います。また、勢いよく座ったり、手すりを使用しなければ座れなかったり、後方へ倒れそうになったり、転倒や怪我をする危険性があります。また、着座は、立ち上がりと異なる機能的要素を含んでいるため、立ち上がりと合わせて評価、治療していく必要があります。

 今回は、着座についての動作分析のポイント、立ち上がりとの違いについてまとめました。

 着座、立ち上がりの違い

 立ち上がり、着座の大きな違いは、

立ち上がり  →抗重力運動

着座     →従重力運動

つまり、立ち上がりは重力に負けないように運動する必要があり、着座は重力に従って運動をしています。立ち上がりでは、大きな役割をはたす大殿筋、大腿四頭筋は求心性に働きます。それに対して、従重力運動である着座は、大殿筋、大腿四頭筋は遠心性に働く必要があります。つまり、着座の方が大きな力が必要になってくるのです。

 

立ち上がりの動作分析に関しては下記の記事を参照してください。

fuji-riha.hatenablog.com

 

 もう一つの違いは、

立ち上がり →足関節ストラテジー、体性感覚優位

着座    →股関節ストラテジー、視覚・前庭感覚優位

バランスをとる戦略として、足関節ストラテジーを利用するほうがバランスはよいとされています。また、姿勢制御の際、体性感覚、視覚、前庭感覚の3つの感覚の重みづけとして、体性感覚が優位であるほうがバランスがよいとされています。また、不安定な場面では、股関節ストラテジーや視覚・前庭感覚が優位となって働きます。

これにより、立ち上がりの方が高度なバランス感覚が必要であるといえます。着座は、座る場所や高さがわかりにくいことから、視覚・前庭系に依存する必要があり、姿勢制御としては、不安定な動作ということになります。

 立ち上がりと着座の大きな違い・特徴としては、

 〈立ち上がり〉

高度なバランス感覚が必要な動作

 〈着座〉

立ち上がりより大きな筋出力が必要

立ち上がりと着座を見ることでこのなる情報が得られるため評価としも有用です。

また、どちらにも動作として特徴があるため、バランス訓練として立ち上がり訓練や筋力強化訓練として着座訓練を行うなど治療としても利用可能です。

着座の動作分析ポイント

 では、続いて着座の動作分析をする際のポイントについてまとめます。

まず、着座とは、立位で上方にある重心を下降させながら、前方の支持基底面(足部)から後方の支持基底面(臀部)へと移動する動作である。

 第1相

立位から着座を開始する際にまず、重要なのは、

骨盤の後傾

軽度の下腿の前傾   である。

 骨盤が後傾は、股関節伸展筋群と体幹の伸展筋群の活動が必要です。下腿の前傾は、下腿三頭筋の筋緊張が緩み、前脛骨筋の活動によって起こります。

 骨盤が後傾、下腿が前傾することで膝関節が緩み、屈曲します。それにより、重心を下降しやすくなります。ここで重要であるのは、骨盤と下腿の動きによって膝関節が緩み屈曲することです。決して、膝関節の意識的に屈曲するわけではありません。

 つまり、骨盤の後傾が起こらずに膝関節を屈曲させ、着座した場合ハムストリングスの過活動や股関節伸筋群の弱化による代償的な戦略を利用しているということになります。

 

第2-3相

 第2-3相は、膝関節が緩み重心を下降させてから、座るまでの動作です。

ここで重要なのは、

骨盤の後傾→前傾のコントロール

下腿の安定性           です。

第1相で骨盤を後傾させ、膝関節が緩んだ後すぐに骨盤を前傾させ、重心が後方に行き過ぎないように制御します。骨盤の後傾→前傾のコントロールは、体幹伸筋群・股関節伸筋群・大腿四頭筋の遠心性収縮が重要になってきます。つまり、筋活動としては、大きな活動が必要です。

 下腿の安定性は、臀部がつくまで重心を足部の支持基底面内にて保持するために重要となってきます。ここで重要なのは、前脛骨筋と下腿三頭筋の協調的な筋活動です。これらが協調的に活動することで重心を足部の支持基底面内にとどめることが可能となります。

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まとめ

 今回は、着座動作に着目し、立ち上がりとの違いや動作分析のポイントをまとめました。着座の大きなポイントとしては、従重力活動であり、立ち上がりより筋活動が必要となってくることだと思います。リハビリでも日常生活でも立ち上がりだけでなく、着座動作も必ず行うと思います。

 立ち上がりと合わせて、着座動作にも注目することでより多くの評価や、より効率のより治療が可能となると考えています。

 明日から着座まで見てみてください!

 

今回参考にした本はこちら

 

 

 

最後まで読んて頂きありがとうございます。

 

 

理学療法×ピラティス〜運動療法を大きく変えるピラティスとは〜

 最近、美容、ダイエットなどでヨガが一般的にひろまってますね。それに合わせて、海外のセレブなどが美容などのために行なっていて、注目されているのがピラティスです!

意外にも、私の周りの人も知らない人たちが多いです。美容、ダイエットなどで注目されるピラティスとリハビリと何が関係するの?って思う方も多いと思います。

実は、ピラティスとリハビリは、関係性がとても深いです!

最近では、腰痛に対して効果があることで注目されていたり、パフォーマンスアップのために取り入れているスポーツ選手などもいます。

そんな、美容、医療、スポーツと様々な分野で注目されているピラティスを、先日、ピラティスのインストラクターを取得した私が理学療法ピラティスの関係性や私がピラティスを学び始めた理由などを経験を踏まえながらまとめます。

 

 

ピラティスとは?

  まず、一般的にあまり知らていないピラティスとはなんだ?ですよね。

 ピラティスは、1926年ドイツ移民であるジョゼフH.ピラティス氏が考案したメソッドです。第一次世界大戦中、医療キャンプで負傷した患者がベッドに寝ながらでも回復できるようにと考案されたものなのです。

つまり、負傷した患者のリハビリが発祥なんです。

 もともとは、負傷した患者に対するものであるため、病院で入院されている高齢者でも可能な運動なんです。しかし、怪我などがない一般の方々に対して、負傷患者と同じ運動では、負荷量が低すぎるため、強度がある程度高いものが紹介されます。

そのため、

運動の方法や負荷量を変化させるだけで、高齢者からアスリートまで幅広い方々に利用できるんです。

 

ピラティスを学ぼうと思った理由

 こんな記事を書いている私ですが、実際にピラティスを知ったのは、去年なんです笑。大学生時代から、友達がピラティスをやっていて、名前くらいは知っていたんですけど、どんなものかは知らなかったんです。

 去年、ネットで理学療法についてのブログを見てるとピラティスインストラクターを取得している人が結構いました。体幹レーニング、姿勢改善、腰痛改善などリハビリで生かせそうな情報が多くあり、『まず自分から』とピラティススタジオへ通い始めます。実体験を通して、効果を感じ、ピラティスを学ぶことを決め、インストラクターとなりました。

そのため、実際の体験で感じたことを少し書いていきます!

 

ピラティスで実際に感じたこと

始めて、自分がピラティスを受けた時、衝撃を受けました。レッスンを受けたあと、『なんか始めより、姿勢が伸びた感じがする』ような不思議な感覚がありました。たった、60分のレッスンで、自分の体が変化し、それを実感させることができることに衝撃を受け、感動さえ覚えました!本当に、新しい感覚です!

もう一つ、ピラティスってすごいと感じたのが、もともと腰痛があった私が、全く腰痛を感じなくなったことです!高校生くらいからずっと、約7年くらい腰が重くて、時には動けなくなることもあったんです。さらに、仕事を始め、体に負担が増えることも多くなり、毎朝腰痛と戦ってた時があります。そんな中、ピラティスを始め、数ヶ月後、気づいたら、腰が重い、痛いと全く感じなくなりました。その時、ピラティスは、腰痛に効果があることをすごく実感しました。

体の変化を実感できる即効性腰痛の予防に対する有効性の2つがピラティスを通して、大きく実感したことです!この2つの実感がピラティスを学ぶきっかけですね笑。

理学療法×ピラティスをどう生かす?

身体の理想的な動き

なぜピラティスがリハビリとしてよいかというと、理想的な身体の使い方をしているからです。以前の記事で、JBJT理論についてまとめました。ピラティスは、この理論通りに動きます。

 簡単に説明すると、腰椎のスタビリティを保ったまま、股関節、胸椎を動かし、モビリティを高める運動を行います。詳しく知りたい方は下記の記事を参照してください。

 理想的な動きで、身体に負担が少ない状態を、身体に覚えさせることができます。

 

fuji-riha.hatenablog.com

 

 

運動から運動療法

 リハビリにおいて、動きの正解はわからないけど、筋力強化のためにブリッジなどの運動をするということは、よく見られます。私も実際そうでしたから。

 しかし、それは、たぶん理学療法士が指導しなくてもできる運動ではないですか?つまり、私が考えるにそれは、ただの運動なんです。

 ピラティスを知ることで、身体の正しい使い方を知ることができます。つまり、それぞれの運動の正しい方法を知ることができるということです

 正しい運動を知ることで、代償動作がわかるようになり、その代償動作より弱化している筋や短縮している筋を予測することができます。また、正しい運動を指導できることでより効率の良い運動になります。

 これにより、

『ただの運動から運動療法』を指導できるようになります。

 

姿勢改善

 ピラティスで最も効果が表れやすいのは、姿勢の改善です。短縮筋を伸張し、弱化筋を強化するエクササイズを効果的に行うことで、筋のアンバランスが改善され、より効率の良い姿勢へと変化します。一度の介入だけでも、適切にエクササイズを行うことで、姿勢の改善がみられるくらい、即時的な効果があります。もちろん、効果を持続させるためには、一度だけでは変わりませんが。「10回で気分が良くなり、20回で見た目が変わり、30回で体のすべてが変わる」とも言われています。

 姿勢によって腰痛や変形性膝関節症などの慢性疾患と診断され、痛みなどで悩んでいる方も多いです。そんな患者に対して、ピラティスは有効であり、姿勢の改善とともに痛みが軽減します。もちろん、セラピスト自身の身体のケアにも有効なので、患者だけでなく、自分にとってもメリットがあります。

姿勢についてや改善方法については下記の記事を読んでみてください。

 

fuji-riha.hatenablog.com

 

まとめ

 今回は、ピラティス理学療法の関係性についてまとめました。

ピラティスを知ることで、正しい運動を知ることができ、今まで行ってきた運動がさらに効率が良くなり、運動療法へと変化すると思います。また、姿勢を改善することで見た目が変わり、慢性疼痛など姿勢からくる症状の改善につながります。

 私は、ピラティスを知り、考え方や実際の臨床での運動の指導が大きく変わりました。運動療法の効果も変わり、患者に患者自身の身体の変化を実感してもらえるようにもなりました。一度、ピラティスについて調べてみること、体験してみることをお勧めします。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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リハビリにおける立ち上がり動作分析の3つのポイント

  臨床において、何気なく、立ち上がって歩いて歩行を見たり、していないですか?

  立ち上がりは、座位姿勢から重心を前方と上方へ移動しなければならないため、基本動作の中で難易度としては高い動作です。そのため、椅子から立ち上がれなかったり、代償動作が出やすかったりします。

  立ち上がりを見ることで、機能が低下している部分を予測することができ、どのような力が必要なのかを理解する事で、機能の向上目的にアプローチとしても、利用することができます。
 そのため、今回は、立ち上がりの動作分析を行う上でチェックしたい3つのポイントと各相を運動学的に、必要な機能をまとめていきます。

立ち上がり動作の基本

 立ち上がり動作分析するにあたってチェックする3つのポイントは、

 

体幹が抗重力姿勢を保ってられるか

・下腿の上に大腿を持ってこられるか

・下腿が安定しているか       です。

 

 立ち上がりの各相においてそれぞれ必要な要素はありますが一連の動作を見るうえでは、まず、この3つができているかどうかを見ることが必要であると考えています。

この要素が重要な理由を下記に示します。

体幹が抗重力姿勢を保ってられるか

 立ち上がりは、重心を上方へ移動しなければならないが、体幹が抗重力姿勢を保持ができない場合、重心の高さを維持できず、下方へ移動してしまい、運動が阻害される。

・下腿の上に大腿を持ってこられるか

 立位姿勢とは、下腿の上に大腿がある状態です。そのため、立ち上がりにおいて、安定した下腿の上に大腿をもってこられるかがかなり重要になります。

・下腿が安定しているか 

 立ち上がる際、地面に設置している部分は足底しかありません。そのため、土台が安定していなければ、立位姿勢は成り立たないので、下腿の安定も重要になってきます。

 

 一連の動作において、まずこの3つができているかを確認してみてください。

その後、各相において必要な機能は異なるため、どの相でこの3つの機能がみられないのを評価していく必要があります。

そのため、各相における、運動学的要素も知る必要があります。

下記でそれぞれの相の運動学的要素をまとめていきましょう!

 

 その前に、まず、立ち上がりの基本である、各相について。

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◆第1相:屈曲相

 安静座位~離殿まで

◆第2相:移行相

 離殿~足関節最大背屈まで

◆第3相:伸展相

 足関節最大背屈~直立位まで

◆第4相:安定相

 立位姿勢の保持

立ち上がりは、この4相に分かれていてそれぞれ必要な動きがあります。


第1相:屈曲相

 第1相は、安静座位~離殿までの動きです。安静座位から重心を前方へ移動し、足部へと重心を移動する必要があります。そのために、この相では、

体幹の前傾と抗重力姿勢の維持

骨盤の前傾

下腿の前傾       の3つが大きな要素です。

体幹の前傾と抗重力姿勢の維持

 安静座位から重心を移動する際に、体幹を前傾させ、重心を前方へ移動させます。体幹の前傾させ、効率的に重心を移動させるために必要なのが体幹を前傾したときも抗重力姿勢を維持することです。体幹の前傾と抗重力姿勢を維持することで、重心が前方へ移動し、重心の高さを変えずに効率よく重心移動が可能となります。

 この要素を見るポイントは、

・脊柱起立筋の活動による胸椎の伸展

・コアスタビリティの活動による腰椎の安定  の2つ。

脊柱起立筋が働くことによって、胸椎を伸展位に保ち、コアスタビリティによる腰椎の安定によって、胸腰椎が屈曲し、重心が下がるのを防ぎます。

 

 

*コアスタビリティとは

 多裂筋、腹横筋、横隔膜、骨盤底筋群の4つの筋によって腰椎の安定性の向上させる機能のことである。腰椎の周りを囲むように筋が配置されており、コルセットのような働きをし、4つの筋が協調的に活動することで腰椎が安定し、腹圧が高まる。

骨盤の前傾

 重心を前方へ移動のために骨盤の前傾も必要です。骨盤が後傾位の場合、胸腰椎の伸展が出ないため、胸椎もしくは腰椎の屈曲で体幹の前傾を代償しなければなりません。胸腰椎の代償が起こるということは、①体幹の抗重力姿勢の維持が難しくなります。そのため、①の要素を成り立たせるためには、骨盤の前傾はとても重要な要素となります。

 骨盤の前傾は、股関節屈曲90°までと股関節屈曲90°以降では必要な筋活動が異なります。

 股関節屈曲90°までは、腸腰筋の活動が必要であり、それに合わせて多裂筋の活動が起こり、骨盤の前傾と腰椎の伸展運動が起こります。

 股関節90°以降は、慣性により、重心は前方へ移動します。その慣性を制御するために大殿筋、ハムストリングスの活動が起こります。

 

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下腿の前傾

 重心を前方へ移動するために必要な3つ目のポイントが下腿の前傾です。立位の支持基底面は、足底しかないため、下腿が安定していないと土台がしっかりしないため、立てません。そのため、まず、足底が地面に設置している必要があります。

 前脛骨筋の活動により、下腿を前傾させ、立ち上がるための土台を安定させます。この活動で前方に安定した支持基底面ができるため、骨盤の前傾などが可能となります。

 さらに下腿を前傾位で安定させるために大殿筋の働きが重要になってきます。大殿筋の活動により股関節を伸展する方向へ力が加わり、同時に大腿骨を下腿長軸方向へ押し付ける力も働きます。

 この2つの筋活動によって、第1相において立位の土台となる下腿が安定します。

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第2相:移行相

 第2相は、離殿から足関節最大背屈までの動きです。第1相より重心をさらに前方へ移動させ、加えて股関節、膝関節が伸展し始め、重心を上方へも移動する必要があります。重心を上方へ移動し始めるため、立ち上がりの中で最も筋出力が要求されるます。

この相では、

下腿前傾位での安定性

下腿の上に大腿を持ってこられるか  の2つが重要な要素です。

下腿前傾位での安定

 第2相は、第1相に続いて下腿を前傾させます。この動きで重要になってくるのは、前脛骨筋の活動です。前脛骨筋の活動が優位に働くことによって、床反力の作用点が踵に位置し、さらに下腿が前傾することが可能となります。

 下腿を安定させるために前脛骨筋の活動は重要であるが、下腿が前傾するのを防ぐために下腿三頭筋の活動も重要になってきます。下腿の前傾が制御されない場合、下腿が前傾し続け、膝折れなどにもつながるため、下腿三頭筋のブレーキとしての作用は必要です。

下腿の上に大腿を持ってこられるか

  第2相では、重心を上方へ移動させるために、股関節、膝関節が伸展し始めます。まず、安定した下腿が必要であり、その上で膝関節が伸展し、下腿の真上に大腿が来るように動きます。そのために重要になってくるのが、大殿筋の筋活動大腿四頭筋の筋活動です。大殿筋の活動により股関節が伸展し、さらに下腿を長軸方向へ押し付ける力が働くため、下腿の安定にもつながります。大腿四頭筋の活動によって、膝関節が伸展し、大腿骨が膝関節を支点に動くため、大腿骨近位部で骨盤を上方へ押し上げる力が働きます。この2つの筋活動により、重心を上方へ移動させます。さらに一番低い位置から重心を上げなければならないため、最も筋出力が必要となります。

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第3相:伸展相

 第3相は、足関節最大背屈から直立位までの動きです。直立位となるため、重心を上方へ移動します。そのため、股関節、膝関節は第2相に続き、伸展します。前傾していた下腿は、直立位となるため足関節の底屈を少しおこります。

この相では、

下腿の上に大腿を持ってこられるか

下腿の安定性

バランス保持            の3つである。

 下腿の上に大腿を持ってこられるか

股関節、膝関節の伸展は、第2相に続いて大殿筋の活動大腿四頭筋の活動が重要になってきます。しかし、重心が第2相よりも上方にあるため、第2相よりも筋出力は大きくありません。

下腿の安定性

足関節の底屈が少しおこるため、下腿三頭筋の活動が重要になってきます。第2相までは前脛骨筋が優位に活動していたが、下腿が前傾位から直立位になるため、前脛骨筋も協調的に働くが、下腿三頭筋の活動が優位に活動します。

バランス保持

 重心が上方へ移動するにつれ、動作は不安定となり、バランスをとる必要があります。そのため、足関節ストラテジー(下腿三頭筋、前脛骨筋などの下腿筋群の協調的な活動)が重要になっってきます。よりバランスが良い状態であるためには、足関節ストラテジーが優位である必要であるが、バランスをとるためには、股関節ストラテジーも必要である。足関節ストラテジー、股関節ストラテジーの両方使いながら、バランスをとり、直立位となります。

第4相:安定相

 第4相は、立位姿勢が安定した状態です。この相では、環境であったり、外乱刺激、内乱刺激に対して、バランスを崩さずに姿勢を保持する必要があります。

 大きな筋活動は必要とはしないが、個人的な因子であったり、知覚情報であったり、環境など様々な要素に影響されるため、第4相では、それらも評価する必要があります。

 

まとめ

今回は、立ち上がりについて各相ごとにまとめました。

それぞれの相によって必要とされる筋活動は異なりますが、立ち上がり動作を通して、共通して必要な要素は、はじめに述べたように

体幹が抗重力姿勢を保ってられるか

・下腿の上に大腿を持ってこられるか

・下腿が安定しているか

の3つであると考えます。なので、まず、この3つのどの要素ができていないか分析し、その後、細かくどの相のどの要素が足りないかと評価していくと、立ち上がりの動作分析がしやすくくなると思います。

 

今回参考にした本はこちら

 

 

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整形外科テストをどう使う~下肢の神経症状の鑑別~

  前回に続いて、整形外科テストの使い方をまとめていきます。今回は、下肢の痺れ・疼痛などの神経症状を鑑別するための整形外科テスト。

 回復期では、既往歴に腰部疾患がある患者であれば、痺れ・疼痛の原因は、予測されます。しかし、既往歴に腰部の疾患はないが、下肢の痺れ・疼痛、感覚障害の訴えが聞かれることがあります。そんな時、痺れ・疼痛の原因は何かを評価しなければなりません。

 そのため、今回は、下肢の神経症状が見られる疾患と評価する方法を整形外科テストを用いてまとめていきます。

 

 前回の記事はこちらからどうぞ。

股関節の疼痛、筋短縮を評価する整形外科テストについてまとめてあります。

fuji-riha.hatenablog.com

 

 腰部疾患による神経症

 神経症状がみられる腰部疾患としては、椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などがあります。これらの疾患は、何らかの病変により脊髄が圧迫されることで神経症状がみられ、障害されている高位によって感覚障害、筋力低下がみられる部位が異なります。なので、下記の整形外科的テストによって、腰部疾患が疑われた場合、感覚検査、筋力検査に加え、腱反射テストを合わせて行い、障害されている高位を確認します。

 また、椎間板ヘルニアは、体幹の屈曲で痺れ・疼痛が増強し、脊柱管狭窄症は、体幹を伸展で痺れ・疼痛が増強します。このように、体幹の屈曲・伸展のどちらで痺れ・疼痛が強くなるのかを確認することも、疑われる疾患を鑑別する方法になります。

 

筋力検査

大腿四頭筋の筋力低下  →L3

・前脛骨筋の筋力低下   →L4

・長母趾屈筋の筋力低下  →L5

・下腿三頭筋の筋力低下  →S1

 

感覚検査

・下腿内側の感覚障害        →L4

・下腿外側~足背内側の感覚障害   →L5

・足背外側~足底の感覚障害     →S1

 

腱反射検査

・膝蓋腱反射の減弱    →L4

・アキレス腱反射の減弱  →S1

 

SLRテスト

 SLRテストとは、膝関節伸展位にて他動的に股関節を屈曲させ、疼痛が出現するかどうか確認するテストです。下肢伸展挙上により、坐骨神経が伸張され、大腿後面に疼痛みられます。疼痛がみられた場合、陽性であり、腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、脊椎すべり症などの腰部疾患が疑われます。

 

陽性→腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアなどの腰部疾患

 

〈方法〉

 検査肢位は、背臥位。検査側の膝関節伸展位の状態で、股関節を他動的に屈曲させ、下肢挙上位とします。その際の疼痛の有無を評価します。

ブラガードテスト

 SLRテストと同様に、下肢伸展挙上の状態にて足関節を背屈させ、疼痛が出現するかどうか確認するテストです。疼痛が出現した場合、陽性あり、腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、脊椎すべり症などの腰部疾患が疑われます。

 SLRテストとブラガードテストの両者が陽性の際は、椎間板ヘルニアが疑われます。

 

陽性→腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアなどの腰部疾患

 

〈方法〉

 検査肢位は、背臥位。検査側の膝関節伸展位の状態で、股関節を他動的に屈曲させ、下肢挙上位とします。その肢位にて足関節を背屈させ、疼痛の有無を評価します。

 

大腿神経伸展テスト

大腿神経伸張テストは、腹臥位にて膝関節屈曲位で股関節を伸展した際、疼痛が出現するかどうか確認するテストです。疼痛が出現した場合には、陽性で、上位椎間板ヘルニアなど上位腰椎に異常が疑われます。このテストは、大腿神経の絞扼がみられる場合でも陽性となるので鑑別が必要です。。

 

陽性→上位腰椎椎間板ヘルニアなどの上位腰部の疾患

 

〈方法〉

 検査肢位は、背臥位。検査側の膝関節屈曲位にて、股関節を伸展し、疼痛の有無を評価します。

 

梨状筋症候群による神経症

 梨状筋症候群とは、梨状筋が何らかの原因で硬くなり、神経を圧迫してしまうことによって神経症状がみられる疾患です。この疾患では、梨状筋の下方を通る坐骨神経が障害されることが多いですが、他にも上殿神経、下殿神経も梨状筋の下方を通るため、同一の疾患でも症状がみられる部位が異なる場合があります。

 

疼痛がみられる部位 

・臀部から大腿後面→坐骨神経

・臀部の外側   →上殿神経

・臀部の内側   →下殿神経

 

内旋 SLR test

 内旋SLR testとは、SLRを行った状態で股関節を内旋させ、疼痛が出現するかどうかを確認するテストです。腰部疾患でも示した通り、SLR testが陽性であった場合、腰部疾患の可能性も示唆されます。しかし、梨状筋症候群においても腰部疾患よりは、軽度ではあるが疼痛がみられる場合があります。そのため、腰部疾患との鑑別が必要です。鑑別する方法としては、通常のSLRを行い、さらに股関節を内旋させることで疼痛が変化するかを確認します。疼痛が増強する場合には、梨状筋症候群が疑われます。

 

内旋SLR     test→・疼痛が強くなる→梨状筋症候群

        ・変化なし     →腰部疾患

 

〈方法〉

 検査肢位は背臥位。検査側の下肢を膝伸展位の状態で股関節を屈曲していき、下肢を挙上させます。下肢伸展挙上位の状態で、股関節を内旋させ、疼痛の変化を確認します。

 

フライバーグ test

  Freiberg testは、股関節を屈曲・内転・内旋させ、疼痛が出現するかどうか確認するテストです。股関節を屈曲・内転・内旋方向へ動かすことによって殿筋群、外旋筋(梨状筋除く)が伸張され、上殿神経、下殿神経、坐骨神経が圧迫、牽引されます。そのため、陽性の場合は、疼痛が出現します。

 

陽性→・梨状筋症候群

 

〈方法〉

 検査肢位は背臥位。検査側の股関節を屈曲・内転・内旋方向へ他動的に動かす。動かした際の疼痛の有無を評価する。

 

圧痛所見

 梨状筋症候群が疑われた場合、「どの組織が原因で疼痛が出現しているのか」を評価する必要があります。そこで圧痛所見を利用し、原因を特定していきます。

 下記の図のように、上殿神経は、梨状筋と中殿筋の間を通り、下殿神経、坐骨神経は、梨状筋と上双子筋の間を通ります。坐骨神経は、梨状筋の中央付近を通過しており、下殿神経は、中央より内側を通過していることがわかります。

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 神経が通過している部位を圧迫し疼痛がみられるか評価していきます。梨状筋の上縁で、仙骨縁から2横指外側にて圧痛がみられる場合は、上殿神経の障害が疑われます。梨状筋の下縁で、中央辺りを圧迫し疼痛がみられる場合は、坐骨神経障害が疑われます。梨状筋の下縁で、内側を圧迫し疼痛がみられる場合には、下殿神経の障害が疑われます。

 

仙骨縁から2横指外側にて圧痛 → 上殿神経

・梨状筋の中央辺りにて圧痛    → 坐骨神経

・梨状筋の内側にて圧痛      → 下殿神経

 

大腿神経障害による神経症

 大腿神経は、腸腰筋の上を走行し、鼠経靭帯、縫工筋、恥骨筋からなるスカルパ三角を通り、大腿動脈のすぐ外側を走行します。そこから、外側と内側へ分岐し、外側は大腿直筋腱の下を通り、中間広筋、外側広筋を支配します。内側への分岐は、大腿直筋の下を通らずに内側広筋を支配し、前皮枝、伏在神経へとつながります。

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 大腿神経の絞扼が起きる部位は、2つあります。鼠径部と大腿直筋腱の下です。この2つの部位では、神経により支配される範囲が異なるため、症状が異なります。どちらの部位で鑑別するために整形外科テストに加え、筋力検査、感覚検査が重要です。

大腿神経障害にてみられる、筋力低下、感覚障害の部位を下記に示します。

 

筋力検査

大腿四頭筋の筋力低下

外側広筋、中間広筋の筋力低下が著名な場合→大腿直筋の下での絞扼

(股関節内旋位での膝関節伸展筋力検査)

 

感覚障害

・大腿前面~下腿内側の知覚障害→鼠径部での絞扼

(大腿直筋の下での絞扼では、知覚神経が障害されないため、感覚の障害は見られない)

 

大腿神経伸張テスト

 大腿神経伸張テストは、腹臥位にて膝関節屈曲位で股関節を伸展した際、疼痛が出現するかどうか確認するテストです。大腿神経は、股関節の前面を通るため、股関節伸展することで伸張され疼痛が出現します。そのため、陽性の場合には、疼痛が出現します。このテストは、上位腰椎に異常がある場合にも陽性となるため、鑑別が必要です。

 

陽性→大腿神経の絞扼、上位腰椎の疾患

 

〈方法〉

 検査肢位は、背臥位。検査側の膝関節屈曲位にて、股関節を伸展し、疼痛の有無を評価します。

圧痛所見

 鼠経部での絞扼か、大腿直筋の下での絞扼かを判断する際に圧痛所見を利用し、原因を特定していきます。

 鼠径部にて大腿動脈の外側を圧迫した際に疼痛がみられる場合は、鼠径部での絞扼が疑われます。大転子の下方で、大腿筋膜張筋と大腿直筋の間を圧迫した際に疼痛がみられる場合は、大腿直筋の下での絞扼が疑われます。

 

・大腿動脈の外側にて圧痛      →鼠径部での絞扼

・大腿筋膜張筋と大腿直筋の間にて圧痛→大腿直筋腱の下での絞扼

 

まとめ

 今回は、下肢の神経症状が見られる症例に対して、整形外科テストを用いて評価する方法をまとめました。整形外科テストを利用することで、原因を評価することができます。しかし、1つのテストだけでは、判断が困難であるため、いくつかのテストを組み合わせて、より正確な評価をする必要があります。

 また、梨状筋症候群や大腿神経の障害は、理学療法によって改善が見込めます。しかし、椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの腰部疾患は、理学療法で症状が改善することもありますが、器質的変化が見られる場合、外科的な治療が必要になってきます。そのため、腰部疾患による神経症状が疑われた場合は、一度ドクターに確認した方が良いです。

 下肢の神経症状が、理学療法にて改善できるのかどうかを確認するためにも、整形外科テストは必要ですね!

 

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整形外科テストをどう使う~股関節の疼痛、筋短縮を鑑別する方法~

 臨床の現場において、問題点が見つかり、治療を行いたいと思うが実際にどの組織が原因であるかがわからないということは、若手のうちはよくあることではないでしょうか。そんなときは、基本に立ち返り、学校で習う、整形外科的テストを活用してみるとよいと思います。整形外科的テストを利用することで、詳しく評価する部位や治療する部位が絞られてくるので、短い時間でより正確な評価ができると思います。

 なので、今回は、よく利用される整形外科的テストを紹介し、どのように利用していくかをまとめていきます。

 

股関節筋の短縮を見るテスト

  股関節の可動域制限がみられた場合、制限となる因子がどこにあるかを評価する必要あります。筋の短縮が制限因子の場合、整形外科テストを利用し、原因筋を鑑別することが可能です。

Thomas Test

  Thomas testとは、腸腰筋の短縮を確認するテストです。

 腸腰筋は、腸骨筋と大腰筋の2つの筋肉から構成されています。腸骨筋は腸骨窩、大腰筋は、Th12~L5までの椎体が起始部であり、両方とも小転子に停止します。股関節の屈曲、外旋に作用します。

 Thomas testにて検査側と反対の股関節を屈曲することで、骨盤が後傾します。骨盤が後傾することで、検査側の股関節は相対的に伸展位となります。そのため、腸腰筋の短縮により股関節が伸展できない場合、腸腰筋が引っ張られ、大腿部がベッドから持ち上がります。

 

陽性→腸腰筋の短縮

 

〈方法〉

 検査肢位は、背臥位。検査側と反対の膝・股関節を屈曲させる。その時、検査側の大腿部がベッドから持ち上がった場合、陽性となります。

Ely test

  Ely testとは、大腿直筋の短縮を確認するテストである。

 大腿直筋は、下前腸骨棘と寛骨臼上部が起始部であり、脛骨粗面に停止します。股関節を屈曲、膝関節を伸展に作用します。

 腹臥位では、股関節が伸展位となり、その状態で膝関節を屈曲することで大腿直筋が伸張位となります。大腿直筋の短縮があると、股関節の伸展ができなくなるため、膝関節を屈曲するにつれ、お尻が持ち上がり、尻上がり現象がみられます。大腿直筋は、大腿部を固定した場合、骨盤を前傾する作用を持ちます。そのため、骨盤を固定せずにテストを行う場合は、完全に伸張された状態になりにくいということです。そのため、骨盤を後傾に保持した状態でテストを行うとより評価の信憑性は上がります。

 

陽性→大腿直筋の短縮

 

〈方法〉

検査肢位は、腹臥位。検査側と反対側の下肢をベッドからだし、股関節を屈曲位とし、骨盤を後傾位に保持する。検査側の膝関節を屈曲させ、お尻が上がってくるかどうか確認する。お尻が上がってくる場合は、陽性である。

 

Ober test

 Ober testとは、大腿筋膜張筋の短縮を確認するテストです。

 大腿筋膜張筋は、上前腸骨棘が起始部であり、脛骨粗面外側のガーディ結節に停止します。股関節の屈曲、外転、膝関節の屈曲に作用します。

 通常の検査側を上にした、側臥位おとり、股関節、膝関節屈曲位とし、膝がベッドにつくかどうかを確認し、ついた場合には陽性となります。大腿筋膜張筋は、大腿部を固定した場合、骨盤を前傾する作用を持ちます。つまり、骨盤を固定せずにテストを行う場合は、完全に伸張された状態になりにくいということです。そのため、骨盤を後傾位に保持した状態でテストを行うとより評価の信憑性は上がります。

 

陽性→大腿筋膜張筋の短縮

 

〈方法〉

 検査肢位は、検査側下肢を上にした側臥位。非検査側の下肢の股関節・膝関節を屈曲位とし、骨盤を後傾に保持する。検査側の股関節・膝関節を屈曲位とし、ベッドに膝がつくかどうかを確認する。膝がベッドにつく場合は、陽性となります。

股関節疼痛を見るテスト

 股関節周囲に疼痛がみられる場合、術後などの明らかな原因がない場合、疼痛がなにからくるものなのかを評価する必要があります。FADIR test、FABER testを利用することで、股関節に原因があるのか、仙腸関節に原因があるのかを鑑別することができます。それにより、評価、アプローチする部位が絞られてくると思います。しかし、このテストのみでは、明確な原因を判断することはできないため、圧痛所見などを組み合わせてさらに、正確性のある評価を行っていく必要があります。

 

FADIR test

 このテストは、股関節を屈曲・内転・内旋位へ動かしたときに疼痛が出現するかどうか見るテストです。陽性の場合、仙腸関節障害もしくは股関節前方のインピンジメントが疑われます。仙腸関節へのストレスや股関節の関節唇、関節包、靭帯の損傷によって疼痛が出現します。また、股関節屈曲・内転・内旋方向へ動かすことで殿筋群、外旋筋群の伸張され、上殿神経、下殿神経が絞扼され、後面に疼痛が出現する場合もあります。

 

 陽性→・仙腸関節障害

    ・股関節の関節唇、関節包、靭帯の損傷

    ・上殿神経、下殿神経の絞扼   

       

〈方法〉

 検査肢位は背臥位です。検査側の膝関節屈曲位の状態で、股関節を他動的に90°屈曲位もしくは、最大屈曲位とし、さらに内転・内旋方向へ動かす。

 

FABER test

 このテストは、股関節を屈曲・外転・外旋位へ動かしたときに疼痛が出現するかどうかみるテストです。陽性の場合、仙腸関節障害、股関節障害が疑われます。仙腸関節へのストレスや股関節に何らかの障害がある場合に疼痛が出現します。

 仙腸関節と股関節障害を鑑別する方法としては、骨盤を固定した場合と骨盤を固定しない場合でテストを行い、疼痛の変化を確認します。骨盤を固定することで仙腸関節へのストレスを軽減することができます。そのため、骨盤を固定した状態で疼痛が出現した場合には、股関節障害が疑われます。疼痛が軽減、消失した場合には、仙腸関節が疑われます。

 

(骨盤固定なし)陽性→・股関節障害 

                                        ・仙腸関節障害

              

(骨盤固定)→陽性→股関節障害   

                       陰性→仙腸関節障害

 

〈方法〉

 検査肢位は背臥位です。検査側の股関節を他動的に屈曲・外転・外旋させ、反対側の膝の上に検査側の足部をおきます。股関節を開排するようにストレスを加えます。

 骨盤を固定する際は、後方から前方へ向かって固定し、後傾しないように固定します。

 

圧痛所見

  圧痛を評価することで筋由来の疼痛を評価することができます。筋肉を押すことで、筋肉の内圧が上昇し、疼痛を誘発し、疼痛の原因となる筋を評価していきます。筋内圧が上昇する要因としては、①筋損傷により筋が腫れている、②筋が攣縮状態である、③筋膜などの筋周囲組織が硬いの3つです。①は、明らかな組織損傷があり原因がはっきりしているものです。②③は、姿勢などにより異常な筋へのストレスが長きわたり加わることで起こるものです。そのため、圧痛の評価に加え、組織損傷があるかなども合わせて確認し、①か②③のどちらによって筋内圧が上昇しているか判断する必要があります。

 

陽性→筋由来の疼痛

 

〈方法〉

 対象の筋を伸張位とし、筋肉を圧迫し、疼痛の有無を評価します。

例:腸腰筋の圧痛評価。背臥位にて検査側の下肢をベッドからだし、股関節を伸展位とする。その状態で、筋を圧迫し、疼痛の有無を確認する。

 

まとめ

 今回は、股関節の疼痛、筋短縮を評価する整形外科テストをまとめました。整形外科テストを利用することで、原因を絞ることができ、より正確性のある評価が可能となると思います。しかし、一つのテストだけでは、判断することは困難であるため、いくつかの評価を組み合わせる必要があります。

 原因がわからずに、硬い部位をほぐすや痛い部位をほぐすなどやってしまうことがあるという方は、明日から一つでも利用して、評価してみて下さい。

 

今回参考にした本はこちら

 

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姿勢を改善するには~4つの不良姿勢の特徴・評価~

 臨床において、立位での評価をする際、まず姿勢から評価する人は多いと思います。静的な立位姿勢は、立位での動作、歩行を行うスタートポジションなので次の動作に影響してきます。そのため、姿勢を評価することは、重要です。また、姿勢を改善することで症状が軽減したり、動作が変化することは、臨床においても多く経験します。

 姿勢を評価・改善するためには、理想的な姿勢と不良姿勢の特徴を知らなければなりません。今回は、理想的な姿勢と4つの不良姿勢について説明していきます。

4つの不良姿勢の分類

 人はそれぞれの生活があり、動作の癖などがあるため、教科書通りの理想的な姿勢をしている人はいません。基本的には、人の姿勢は、4つに分類され、その中のどれかに分類されます。下記が4つの姿勢の分類です。

  1. 腰椎前弯姿勢 
  2. 平背(フラットバック)
  3. スウェイバック
  4. 円背・頭部前方変位姿勢

 この4つのうちどれに患者が分類されるかをまずは、評価していきます。

では、まずは、理想的な姿勢、不良姿勢の特徴について説明していきます。

理想的な立位姿勢

  理想的な立位姿勢とは、下腿‐大腿‐骨盤が一直線上にあり、骨盤の傾きが中間位、生理的な脊柱のS字カーブがみられ、その上に頭部がみられる状態である。つまり、下から順番に骨が積み重なって、骨で立っている状態。この状態になると、立位を保持するのに最小限の力でよくなるため、効率が良い状態になります。

では、骨のランドマークを用いて、理想的な立位を見ていきましょう。

 

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乳様突起、肩峰、大転子、膝蓋骨後面、外果の前方が一直線になっています。また、第10肋骨、上前腸骨棘(以下:ASIS)が一直線上にあります。これらのランドマークが一直線上に並んでいる状態が理想的な立位姿勢です。

 

 では、不良姿勢の特徴も説明していきましょう。

①腰椎前弯姿勢

  腰椎前弯姿勢とは、いわゆる反り腰ですね。この姿勢をしている方は、女性が多いです。骨盤が前傾しており、腰椎が過剰に前弯している状態となっています。骨盤に対し、斜めに弱化筋と短縮筋がみられ交差している状態であり、下位交差性症候群とも言います。

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〈特徴〉

・女性が多い。

・骨盤が前傾しており、腰椎が過剰に前弯している。

・下位交差性症候群。

〈筋バランス〉

短縮筋:脊柱起立筋、腸腰筋、大腿直筋、大腿筋膜張筋、縫工筋

弱化筋:腹筋群、殿筋群、ハムストリングス

②平背(フラットバック)

  平背(フラットバック)は、脊柱の生理的弯曲がなく、背骨がまっすぐに見える姿勢です。この姿勢をしている方は、男性が多いです。骨盤が後傾し、腰椎の前弯が減少するため脊柱がまっすぐな状態に見えます。大きな特徴としては、脊柱がまっすぐなため、脊柱の可動性が低下しており、背骨が動かない状態になっています。さらに、頭部前方変位を伴うことが多いです。

〈特徴〉

・男性が多い。

・骨盤が後傾、腰椎の前弯減少。

・脊柱の可動性が少ない。

・頭部前方変位を伴うことが多い。

 〈筋バランス〉

短縮筋:腹直筋、ハムストリングス、殿筋群

弱化筋:多裂筋、脊柱起立筋、腸腰筋、大腿直筋、大腿筋膜張筋

スウェイバック

  スウェイバック姿勢とは、骨盤が前方へ変位した姿勢です。この姿勢は、現代人に多くみられる姿勢であり、駅などでスマホを見ている人の姿勢は、この姿勢が多いですね。骨盤が前方へ変位しているため、ASISが第10肋骨よりも前方に位置しています。また、骨盤が前方へ変位することで、大腿骨の前傾が伴い、反張膝を併発しやすいです。骨盤は、後傾していることが多いですが、中間位、前傾位でもスウェイバックとなる方はいるため、その患者によって評価が必要です。骨盤が前方へ変位するため重心が前方へ移動してしまうため、代償として上部体幹を後方へ移動させ、バランスをとっています。そのため、円背・頭部前方変位を伴うことが多いです。この姿勢では、大腿直筋、大腿筋膜張筋などの2関節筋での姿勢保持が優位となるため、姿勢保持において股関節筋を使用しないため、股関節周囲筋の機能低下がみられます。

〈特徴〉

・第10肋骨よりASISが前方にある。

・骨盤が後傾の場合が多い(中間位、前傾位の場合もある)。

・反張膝を併発しやすい。

・円背・頭部前方変位を呈することが多い。

・股関節周囲筋の機能低下がみられる。

・大腿直筋、大腿筋膜張筋などの2関節筋によって姿勢を保っている。

 〈筋バランス〉

短縮筋:腹直筋、内腹斜筋、ハムストリングス

    後頭下筋、僧帽筋上部、大胸筋、小胸筋、斜角筋、胸鎖乳突筋

弱化筋:外腹斜筋、腸腰筋、殿筋群、多裂筋

    椎前筋群、僧帽筋中部、下部、菱形筋

④円背・頭部前方変位

 円背・頭部前方変位姿勢は、頭が前に出ており、胸椎が後弯している姿勢です。スマホやPCを見ているときこの状態になっている人は多いですね。この姿勢は、上記3つと組み合わさっていることが多く、特にスウェイバックとの関係性は大きいです。短縮筋と弱化筋は、頸椎に対して斜めに交差しており、上位交差性症候群とも言われます。

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〈特徴〉

・頭部が前方変位し、胸椎の後湾が起こる。

・上位交差性症候群

・腰椎前弯姿勢、フラットバック、スウェイバックと組み合わさっていることが多い。

 (特にスウェイバック

 〈筋バランス〉

短縮筋:後頭下筋群、僧帽筋上部、大胸筋、小胸筋、斜角筋、胸鎖乳突筋
弱化筋:椎前筋群、僧帽筋中部・下部、菱形筋

姿勢改善の評価・アプローチ方法

 まず、立位姿勢を評価する際は、理想的な立位姿勢で説明した骨のランドマークを見ていきましょう。下から順番にランドマークを見ていき、それぞれのランドマークがどんな位置関係であるかを見ていきましょう。位置関係がわかることで骨盤が前方へ変位しているなどの姿勢の特徴が見えてきます。

 その後、骨盤の傾きと脊柱の弯曲を評価していきます。下記に骨盤の傾きの詳しい見方を説明します。脊柱の弯曲は、仙骨から順番に脊椎を触診していき、生理的弯曲があるか、ないかを評価していきます。

 これらを評価することで、患者の姿勢の特徴がわかるので、4つの不良姿勢に分類されるのかを判断しましょう。

(骨盤の傾きの評価方法)

①ASISとPSISの位置関係で評価する方法。

ASISと上後腸骨棘(以下:PSIS)を触診する。ASISとPSISとの間の距離が約2横指が骨盤の中間位である。2横指以下の場合、骨盤は後傾位。2横指以上の場合、骨盤は前傾位となる。

 

②ASISと恥骨結合の位置関係で評価する方法。

ASISと恥骨結合を結ぶ直線が床に対して垂直になっている状態が骨盤の中間位である。

ASISが恥骨結合より前方にある場合、骨盤は前傾位。恥骨結合がASISより前方にある場合、骨盤は後傾位である。

 

 姿勢を評価するポイントをまとめると

・ランドマークの位置関係

・骨盤の傾き、脊柱の弯曲

・どの不良姿勢に分類されるか判断 です。

この方法で行うことで、その姿勢の特徴を理解することができ、短縮筋や弱化筋を予想することが可能となります。

 

 姿勢を改善するために、予測された短縮筋の柔軟性を向上させ、弱化筋を強化することが大切です。

 つまり、アプローチ方法としては、

・短縮筋の伸張

・弱化筋の強化 です。

この2つを徒手療法と運動療法を組み合わせて治療を行っていきます。

まとめ

 今回は、4つの不良姿勢についてまとめました。

立位姿勢を評価し、改善していく上でのポイントは、

・どの姿勢に分類されるか

・不良姿勢による筋バランスの特徴の理解

・短縮筋を伸張。弱化筋を強化。

この3つです。

 ただ、立位姿勢を見るのではなく、その姿勢の特徴を知ることでアプローチする部分がより明確になってくると思います。

 立位は、動作のスタートポジションでもあるので、正確な評価と改善が必要になってくると思いまいます。立位が変わると動作も変わることも多いので、ぜひ、参考にしてみてください。

 

最後まで読んできただき、ありがとうございました。

コメントなどお待ちしております。

 

関節のモビリティ、スタビリティって何?Joint by joint theoryについて

 関節には、それぞれ役割があることを知っていますか?関節には、モビリティとスタビリティの2つの役割があり、それぞれの関節で主要な役割を担っています。この役割を果たせなくなると、腰痛や変形性膝関節症(以下:膝OA)などの慢性疾患を患ってしまいます。

 今回は、Joint by joint theoryという理論を用いて、慢性疾患を患ってしまう原因、臨床的なこの理論の用い方について説明していきたいと思います。

 Joint by joint theoryとは?

 Joint by joint theoryは、1990年代にアメリカの理学療法士のGray CookとストレッチングコーチのMichael Boyleの2人によって考えられた理論です。

 では、Joint by joint theoryとは、何か。

 関節にはモビリティ(可動性)スタビリティ(安定性)の2つの機能があり、それぞれの関節でどちらかの主要な機能が備わています。そして、人間の身体は、それらの機能が備わった関節が交互に積み重なっているという理論がJoint by joint theoryです。

以下にそれぞれの関節の機能を図に示しています。

青:モビリティ関節 赤:スタビリティ関節

 

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上記の図を見ても、モビリティ関節とスタビリティ関節が交互に並んでいますね!

 

スタビリティ、モビリティの関係が破綻するとどうなるの?

  では、それぞれの機能が低下するとどうなるのでしょうか?

それぞれの関節が役割を担って身体が構成されているということは、その機能が必要なわけなので機能が低下した部分を他でその機能を補わないといけないということになります。つまり、モビリティ関節の機能が低下するとスタビリティ関節が必要以上に動くことで低下した機能を補う必要があります。また、スタビリティ関節の機能が低下するとモビリティ関節で安定性を補う必要があります。要するに代償動作が起こるということです。

 この代償動作によって、関節に負担がかかり、腰痛や膝OAなどの慢性疾患が発症してしまうということです。

 ここでは、腰痛を例に少し説明していきます。

 まず、ヘルニアなどの特定疾患がない、腰痛が発症する原因は、2つあります。

①腰椎のスタビリティの低下

②胸椎・股関節のモビリティの低下

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①腰椎のスタビリティが低下することで、胸椎・股関節に過剰な安定性が必要となり、モビリティとしての機能が低下してしまいます。そのため、動作を行う際に代償動作として腰椎の過剰な動きが伴ってしまい、腰痛になってしまいます。

②胸椎・股関節のどちらかの可動性が低下してしまうことで、そのモビリティを補うために、代償動作として腰椎が過剰に動きます。それにより、腰痛になってしまいます。

①②ともに腰椎に過剰な可動性が必要となっているという結果によって腰痛を発症します。しかし、①は、腰椎のスタビリティ低下が原因であり、②は、胸椎・股関節のモビリティ低下が原因となっています。つまり、原因が異なるということです。原因となる部分を治療しなければ、症状は改善されないため、どちらが原因かを評価しなければなりません。評価方法は、次の項目にて説明していきます。

 

臨床においての考え方・評価方法

 上記項目で示した腰痛の例のように、結果に対する原因は、症状がみられる部分と隣り合う関節に見られます。なので、症状がみられる部分だけでなく、隣り合う関節の機能の評価は、重要ということですね。

 これまで、それぞれの関節によって主要な機能があると伝えてきましたが、実際は、スタビリティ関節でも可動性は必要ですし、モビリティ関節でも安定性は必要です。例として、体幹の運動の際の腰椎の動きです。腰椎はスタビリティ関節ですが、体幹の運動を行う際、腰椎も動く必要があり、腰椎を動かさず体幹を動かすことは困難です。また、股関節はモビリティ関節ですが、安定性がないとトレンデレンブルグ徴候などの代償動作がみられます。

 なので、この理論における機能のとらえ方としては、

スタビリティ関節の役割とは、その関節の可動範囲内で安定性を保っていられること

モビリティ関節の役割とは、大きな可動性を有した状態で全可動域において力を発揮できること

であると私は考えています。

 では、どちらの機能を優先して、評価、治療していく必要があるでしょうか。

モビリティファースト、スタビリティネクス、つまり、まず可動性を優先して改善し、その後安定性の獲得を図るという考え方があります。なので、まずは、可動域があるのかどうかを評価し、治療してから、安定性の評価、治療の順番に進めていく必要があります。

下記に簡単にこれらの機能の評価の仕方を記します。

〈評価する方法〉

まず、可動性の評価が必要なため、関節可動域(以下:ROM)の測定が必要です。

その後、運動療法を行ってもらい、スタビリティ関節の代償動作なく、モビリティ関節が全可動範囲を動かせるかを評価していきます。ROMに制限がなく、代償動作がみられる場合には、スタビリティ関節の機能が低下していることが考えられます。また、モビリティ関節が全可動域動かせない場合は、モビリティ関節の機能が低下していること考えられます。

(例:ブリッジに動作における、腰椎の前弯の代償が起こった場合の考え方。

骨盤が肩‐膝の直線より下までしか行かずに代償動作がみられる場合は、股関節のモビリティの低下が考えられる。

骨盤が肩‐膝の直線より上まで行き代償動作がみられる場合は、腰椎のスタビリティの低下が考えられる。)

まとめ

 今回は、Joint by joint theoryを用いて、慢性疾患の原因について説明していきました。

この考え方で大事なポイントは、

・関節はスタビリティ、モビリティのどちらかの主要な機能を有している。

・関節の機能の低下により、代償動作が発生し、慢性疾患の発症につながる。

・症状の見られる関節と隣り合う関節の評価が必要である。

・評価、治療する際は、モビリティファースト、スタビリティネクスト。

です。

 症状がみられる部分の治療から少し、目を広げることで、原因が見つかり、症状の改善につながってくると思います。

 

今回参考にした本はこちら

 最後まで読んでいただきありがとうごぜいました。コメントなどお待ちしております。

股関節可動域制限~改善するための評価ポイント~

 大腿骨頸部骨折、人工股関節全置換術(以下:THA)など股関節疾患において股関節の可動域制限が問題になる場面を多く経験すると思います。股関節に制限があることで、靴を履く動作、歩行など様々なADLの障害が現れます。そのため、可動域の改善は必要なことです。

 そこで今回は、股関節の可動域制限を改善するために見ておきたい評価ポイントについて伝えていきます。

 大腿骨頸部骨折、THAの病態については、下記の記事をどうぞ。

 

fuji-riha.hatenablog.com

 


股関節の運動学

  まずは、可動域改善のために必要な股関節の運動学についてです。

股関節は、寛骨臼と大腿骨頭からなる臼状関節である。そのため、3軸の動きを伴い、屈曲、伸展、外転、内転、外旋、内旋の動きが可能です。

下記にそれぞれの方向への正常可動域を記します。

屈曲 125 外転 45 外旋  45
伸展 15 内転 20 内旋 45

これらは、純粋な1軸方向への運動を測定してものでです。

しかし、股関節には頚体角、前捻角というものがあるため、股関節の軸に沿って動かす際は、3軸の複合的運動が必要です。

頚体角:前額面から見た際の大腿骨頭頸部と骨幹部がなる角度です。正常では125°あります。

前捻角:大腿骨を上から見た際、大腿骨頭頸部と骨幹部の角度であり、骨頭が前方へ向いている角度です。正常は、15~20°である。

具体的な複合的な運動方向は

屈曲+外転+外旋  伸展+内転+内旋 です。

この複合的な動きが股関節にとって一番負担がかかりにくい運動といえます。

そのため、術後早期や股関節に痛みがある段階での可動域訓練では、股関節を傷めないためにも、この複合的な運動での関節可動域運動が重要です。

 さらに関節が動く際は、副運動というものが起こります。この副運動が阻害されると関節の可動性に大きく影響してきます。

では、股関節の大腿骨の副運動は、

運動方向 大腿骨副運動        
屈曲 後方滑り 外転 下方滑り 外旋  前方滑り
伸展 前方滑り 内転 上方滑り 内旋 後方滑り

後でまた説明していきますが特に問題となるのが大腿骨の後方滑りの運動です。

 もう一つ、可動域の改善するうえで必要なのは、股関節と骨盤の運動の関係性についてです。股関節と骨盤は、隣り合っているため、動きは連動しています。そのため、上腕骨と肩甲骨において上腕肩甲リズムがあるように、大腿骨と骨盤においても大腿骨盤リズムがあります。

 上記に記したように股関節屈曲可動域は、125°とされています。しかし、解剖学的に純粋な股関節の屈曲は、約90°までしかありません。では、なぜ、正常可動域は、125°なのでしょうか?

そこで、骨盤の動きが関与してきます。股関節を屈曲した際、屈曲10°までは、骨盤は前傾方向に動きます。10~90°屈曲した際は、骨盤後傾、腰椎後弯方向へ動くとされており、これが大腿骨盤リズムです。つまり、純粋な股関節屈曲は90°までであり、それ以上の可動域は、骨盤後傾、腰椎後弯運動が必要であるということである。

 

 では、これらの股関節の運動学を踏まえたうえで、可動域制限の原因や評価法について説明していきます。

股関節屈曲制限の評価ポイント

 股関節屈曲制限に対して大きく問題となっているポイントは、

・深層外旋六筋の柔軟性低下

・股関節前面筋の柔軟性低下

・腰椎‐骨盤の可動性低下  の3つです。

下記に屈曲を制限する原因、評価について説明していきます。

 

・深層外旋六筋の柔軟性低下

 深層外旋六筋(梨状筋、上双子筋、下双子筋、内閉鎖筋、外閉鎖筋、大腿方形筋の6つ筋から構成)は、THAにおいて切開されていることや、怪我前より骨盤が後傾しており股関節が外旋しているなどと様々な原因によって硬くなりやすい部分である。実際、臨床でもここが硬い人達は多い。では、なぜ、屈曲を制限するのか?

 深層外旋六筋は、骨盤から大腿骨の大転子に付き、股関節のすぐ後ろを通っている。

そのため、深層外旋六筋が硬くなることで大腿骨の骨頭が前に押し出され、運動軸が前方へ変位します。そうなると、股関節の運動軸がずれるだけでなく、骨頭の後方への滑り運動が阻害されます。そのため、まず、第一に深層外旋六筋の柔軟性を確保し、股関節の運動軸を正常に戻すことが必要です。

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〈評価法〉

 簡単に評価する方法を合わせてお伝えします。

まずは、股関節内旋可動域を測定してみましょう。その後、触診にて実際に筋肉が硬いのかどうかを確認してみてください。

 

・股関節前面筋の柔軟性低下 

 股関節前面筋が屈曲制限の問題となる場合は、主に屈曲時に股関節前面に痛みがみられる場合が多いです。屈曲時に硬くなった股関節前面筋のインピンジメントが起こる場合です。

 深層外旋六筋が硬くなることで、骨頭が前方へ変位し、股関節の前方を通る腸腰筋に過剰なストレスが加わる状態になります。そのため、腸腰筋は、硬くなりやすく、機能不全に陥ってしまいます。腸腰筋の機能不全により、姿勢制御をするために、2関節筋である大腿直筋、大腿筋膜張筋の過剰に働き、柔軟性が低下している状態に陥ります。

 そのため、痛みがみられる場合は、腸腰筋、大腿直筋、大腿筋膜張筋の柔軟性の向上に合わせ、深層外旋六筋の柔軟性、腸腰筋の機能改善が必要になってきます。

〈評価〉

 どの筋が硬くなっていて、痛みが発生しているのか確認しないといけません。そこで、触診と合わせて、整形外科的テストを使用し、評価していきます。

腸腰筋→Tomas test

大腿直筋→Ely test、踵殿距離テスト

大腿筋膜張筋→Over test

 

詳しい評価方法は、下記の記事を参照してみてください。

fuji-riha.hatenablog.com

 

 

・腰椎‐骨盤の可動性低下

 股関節のストレッチを行ているのになかなか可動域が改善しないという方は、腰椎‐骨盤の可動性も一度見てみてください。

 上記の股関節の運動学で説明したように、股関節の運動には大腿骨盤リズムがあります。そのため、股関節を屈曲する際、腰椎、骨盤は一緒に動くということです。なので、股関節の可動域のみ完全に改善したとしても90度程度しか曲がりません。そのため、屈曲する際は、腰椎の後弯、骨盤の後傾運動を一緒に評価する必要があります。

〈評価〉

  腰椎の後弯の評価の評価とはしては、PLF(腰椎後弯可動性)テストがあります。

背臥位で股関節屈曲可動域を測定する際、骨盤を固定したときの屈曲可動域と固定しないときの可動域の比較することでも、腰椎‐骨盤に原因があるのか、股関節に原因があるのか評価することも可能です。

 

+α 大殿筋、中殿筋の柔軟性低下

上記の3つが最も臨床において最も大きく影響してくるポイントです。しかし、これだけで改善しない症例もいます。その際は、股関節の伸展筋である。大殿筋、中殿筋(後部繊維)の柔軟性を評価してみください。股関節屈曲により、伸張されるため柔軟性低下していることで制限因子となります。

〈評価〉 

股関節屈曲+外転+外旋方向から内転+内旋方向に動かしたときの制限が大きいのか確認します。純粋な屈曲の方が、大殿筋、中殿筋が伸張されるため制限が大きくなる場合制限因子となっている場合が多いです。合わせて触診を行います。特に腸骨稜、転子部が硬くなりやすいため、触診してみてください。

股関節伸展制限の評価ポイント

 次に股関節伸展制限において大きく問題点になっているのは、

・股関節前面筋の柔軟性低下

・深層外旋六筋の柔軟性低下 の2つです。

では、伸展制限に対しても原因と評価について説明していきます。

・股関節前面筋の柔軟性低下

 股関節前面筋は、股関節を伸展したときに伸ばされるため、硬くなっていると、伸展方向の運動を妨げてしまいます。股関節前面筋でも特に、硬くなりやすく制限の因子になるのが、腸腰筋、大腿直筋、大腿筋膜張筋である。屈曲制限についてでも書いたように、骨頭の前方変位があると腸腰筋には、過剰なストレスが加わるため、硬くなりやすく、機能不全に陥りやすいです。その代償として、大腿直筋、大腿筋膜張筋が過剰に働き、硬くなります。そうして、硬くなった筋が伸展制限の制限因子となっていることが多いです。

 そのため、腸腰筋、大腿直筋、大腿筋膜張筋の柔軟性向上に加えて、腸腰筋の機能改善が必要です。

〈評価〉

 伸展制限の原因を探すために、まずは、触診にて筋の硬さを確認します。それに合わせて整形外科テストを行い評価していきます。

腸腰筋→Tomas test、膝関節伸展位での股関節伸展制限

大腿直筋→Ely test、踵殿距離テスト、膝関節屈曲位での股関節伸展制限

大腿筋膜張筋→Over test

 

・深層外旋六筋の柔軟性低下

 伸展制限でも、深層外旋六筋の柔軟性低下は、影響してきます。先ほども書いたように深層外旋六筋の柔軟性低下がみられることで、骨頭の前方変位が生じます。そのため、正常な股関節の運動から逸脱した状態で動くことになります。また、骨頭の前方にある腸腰筋は、常に過剰なストレスを受けている状態であるため、硬くなりやすい状態を作ってしまいます。そのため、腸腰筋の柔軟性を向上させてもまたすぐに硬くなり、元に戻ってしまうということです。なので、なかなか伸展制限が改善されません。

 なので、深層外旋六筋の柔軟性も合わせて、確保しておきたいです。

〈評価法〉

まずは、股関節内旋可動域を測定してみましょう。その後、触診にて実際に筋肉が硬いのかどうかを確認してみてください。

まとめ

 股関節の可動域制限を改善するうえで大切なポイントは3つ、

・深層外旋六筋の柔軟性

・股関節前面筋の柔軟性

・骨盤‐腰椎の可動性    です。

可動域を評価する際は、まずこれらを見てみてください。

まとめてみた結果、股関節の屈曲、伸展可動域を改善ためには、内外転、内外旋に作用する筋が原因になることが多いの股関節の全方向の可動域の改善が必要ですね!

 

もう一つポイントとしては、可動域を拡大した後は、必ず運動を行ってもらい、拡大した可動を含め自分で使ってももらうようにしてくださいね!

 

今回参考にした本はこちら

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。ぜひ、参考にしてみてください。コメントもお持ちしております。

リハビリのための大腿骨頸部骨折の病態、手術の理解

 今回は、大腿骨頸部骨折について。

 病院でセラピストされている方であれば、見る機会が多い疾患ではないでしょうか。

病院で働いていなくても学生時代実習で一度は、かかわったことがあると思います。

そんな、大腿骨頸部骨折のリハビリに必要な病態や基本的な情報をまとめていきたいと思います。

 

大腿骨頸部骨折の病態と原因

  大腿骨頸部骨折を呈する患者の受傷原因として、多いのは転倒です。骨粗鬆症を有する高齢者は、骨が弱くなっているので転倒することで骨が折れてしまいます。特に女性は、閉経後に骨粗鬆症になりやすいため、大腿骨頸部骨折で入院されている患者でも男性と比較し多いですね。

 

 大腿骨近位部の骨折は、大きく分けて、大腿骨頸部骨折大腿骨転子部骨折の2つに分けられます。下記の図で示した通り、骨折する場所の違いで分類されます。この2つの骨折についての特徴を説明していきます。

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大腿骨頸部骨折

・関節内骨折であり、血流が乏しいため、骨癒合が得られにくい。

 ・Garden分類によって、骨折の形態を評価。

stageⅠ:不完全骨折(骨頭血流は残存)

stageⅡ:完全骨折・転位なし(骨頭血流は残存)

stageⅢ:完全骨折・部分転位(骨頭血流は減少)

stageⅣ:完全骨折・高度転位(骨頭血流は途絶)

 

大腿骨転子部骨折

・関節外骨折であり、血流が豊富なため、骨癒合に有利。

・Evance分類によって、骨折の形態を評価。

タイプⅠ

groupⅠ:転位なし。整復後安定。

groupⅡ:転位あり、整復可。整復後安定。

groupⅢ:転位あり、整復不可。整復後も不安定な骨折面。

groupⅣ:粉砕骨折。整復後も不安定な骨折面。

手術について

  大腿骨頸部骨折のstageⅠ、Ⅱであれば、骨頭血流が残存しているため、骨接合術(ハンソンピンなど)が選択されます。stageⅢ、Ⅳであれば、骨癒合が得られにくいため、人工股関節全置換術(以下:Total Hip Arthroplasty:THA )もしくは、人工骨頭置換術(以下Bipolar Hip Arthroplasty:BHA)が選択されます。

 大腿骨転子部骨折では、血流が豊富であり、骨癒合がしやすいため骨接合術(γネイルなど)が選択される場合が多いです。

 

 今回は、大腿骨頸部骨折にて多くみられる、THA、BHAの手術方法を詳しく説明していきます。

 手術方法は、5種類あります。前方アプローチ、前側方アプローチ、側方アプローチ、後側方アプローチ、後方アプローチです。下記の図に手術の侵襲場所を示し、特徴を説明していきます。

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・前方アプローチ

 大腿筋膜張筋と縫工筋の間を切開。

 大殿筋、中殿筋、外旋筋の温存。

 最小侵襲アプローチであり、低侵襲で手術可能。

・前側方アプローチ

 大腿筋膜張筋と中殿筋の間を切開。

 大殿筋、外旋筋の温存。

 最小侵襲アプローチであり、低侵襲手術可能。

・側方アプローチ

 中殿筋を切開。

・後側方アプローチ

 大殿筋、中殿筋、外旋筋(大腿方形筋は残存している場合あり)を切開。

 昔から多く行われている方法。

・後方アプローチ

 大殿筋、外旋筋(大腿方形筋は残存している場合あり)を切開。

 昔から多く行われている方法。

 

リスク、脱臼肢位について

  大腿骨頸部骨折では、手術が行われることが多いため、術後のリスク管理もリハビリを進行していく上で重要になってきます。ここでは、リハビリでのリスク管理をするうえで確認するべき合併症を2つ説明していきます。

静脈血栓塞栓症

 術後に長時間起きれない場合に発生することがあります。動かないことにより下肢の静脈に血栓ができてしまうことや血栓が肺へ移動することがあり、肺血栓塞栓症になってしまうこともあります。重症の場合は、死に至ることがあります。そのため、予防は重要です。

 予防方法:早期離床、弾性ストッキングの着用、足関節の背屈運動 など

・脱臼

 THA、BHAの場合は術後、脱臼危険性があります。脱臼の頻度としては、初回1~5%、再置換術後5~15%とされている。それほど高い確率ではないですが可能性が0ではないため、ADL指導などの際には注意が必要です。

 手術方法によっても脱臼する肢位が違います。脱臼肢位とそれぞれ注意が必要なADL場面をまとめていきます。

前方、前側方アプローチ→ 伸展、内転、外旋

・高いものを取る際、台に昇って取る。

・歩行時の方向転換時、患側を軸足にしない。 など

後側方、後方アプローチ→ 屈曲、内転、内旋

・靴下、靴の着脱の際、脚を外に開き、内側から履く。ソックスエイドや靴べら使用。

・正座をする際、割座にならない。

・床から立ち上がる、床に座る際、患側は後方で伸ばしたまま立ち、座りを行う。 など

まとめ

 今回は、臨床で多く見るであろう大腿骨頸部骨折の病態、手術についてまとめました。患者を治療する前にその疾患、手術方法などを知ることで多くの情報が得られます。また、リスクを知ることで介入時に気を付けいないといけないところもわかってきます。治療する前に確認必要ですね!

 ぜひ、基本的なことですが参考にしてみてください!