リハビリログ

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リハビリについて、身体について学んだことをわかりやすく若手セラピストに向けてまとめ伝えていきます。

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リハビリのための大腿骨頸部骨折の病態、手術の理解

 今回は、大腿骨頸部骨折について。

 病院でセラピストされている方であれば、見る機会が多い疾患ではないでしょうか。

病院で働いていなくても学生時代実習で一度は、かかわったことがあると思います。

そんな、大腿骨頸部骨折のリハビリに必要な病態や基本的な情報をまとめていきたいと思います。

 

大腿骨頸部骨折の病態と原因

  大腿骨頸部骨折を呈する患者の受傷原因として、多いのは転倒です。骨粗鬆症を有する高齢者は、骨が弱くなっているので転倒することで骨が折れてしまいます。特に女性は、閉経後に骨粗鬆症になりやすいため、大腿骨頸部骨折で入院されている患者でも男性と比較し多いですね。

 

 大腿骨近位部の骨折は、大きく分けて、大腿骨頸部骨折大腿骨転子部骨折の2つに分けられます。下記の図で示した通り、骨折する場所の違いで分類されます。この2つの骨折についての特徴を説明していきます。

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大腿骨頸部骨折

・関節内骨折であり、血流が乏しいため、骨癒合が得られにくい。

 ・Garden分類によって、骨折の形態を評価。

stageⅠ:不完全骨折(骨頭血流は残存)

stageⅡ:完全骨折・転位なし(骨頭血流は残存)

stageⅢ:完全骨折・部分転位(骨頭血流は減少)

stageⅣ:完全骨折・高度転位(骨頭血流は途絶)

 

大腿骨転子部骨折

・関節外骨折であり、血流が豊富なため、骨癒合に有利。

・Evance分類によって、骨折の形態を評価。

タイプⅠ

groupⅠ:転位なし。整復後安定。

groupⅡ:転位あり、整復可。整復後安定。

groupⅢ:転位あり、整復不可。整復後も不安定な骨折面。

groupⅣ:粉砕骨折。整復後も不安定な骨折面。

手術について

  大腿骨頸部骨折のstageⅠ、Ⅱであれば、骨頭血流が残存しているため、骨接合術(ハンソンピンなど)が選択されます。stageⅢ、Ⅳであれば、骨癒合が得られにくいため、人工股関節全置換術(以下:Total Hip Arthroplasty:THA )もしくは、人工骨頭置換術(以下Bipolar Hip Arthroplasty:BHA)が選択されます。

 大腿骨転子部骨折では、血流が豊富であり、骨癒合がしやすいため骨接合術(γネイルなど)が選択される場合が多いです。

 

 今回は、大腿骨頸部骨折にて多くみられる、THA、BHAの手術方法を詳しく説明していきます。

 手術方法は、5種類あります。前方アプローチ、前側方アプローチ、側方アプローチ、後側方アプローチ、後方アプローチです。下記の図に手術の侵襲場所を示し、特徴を説明していきます。

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・前方アプローチ

 大腿筋膜張筋と縫工筋の間を切開。

 大殿筋、中殿筋、外旋筋の温存。

 最小侵襲アプローチであり、低侵襲で手術可能。

・前側方アプローチ

 大腿筋膜張筋と中殿筋の間を切開。

 大殿筋、外旋筋の温存。

 最小侵襲アプローチであり、低侵襲手術可能。

・側方アプローチ

 中殿筋を切開。

・後側方アプローチ

 大殿筋、中殿筋、外旋筋(大腿方形筋は残存している場合あり)を切開。

 昔から多く行われている方法。

・後方アプローチ

 大殿筋、外旋筋(大腿方形筋は残存している場合あり)を切開。

 昔から多く行われている方法。

 

リスク、脱臼肢位について

  大腿骨頸部骨折では、手術が行われることが多いため、術後のリスク管理もリハビリを進行していく上で重要になってきます。ここでは、リハビリでのリスク管理をするうえで確認するべき合併症を2つ説明していきます。

静脈血栓塞栓症

 術後に長時間起きれない場合に発生することがあります。動かないことにより下肢の静脈に血栓ができてしまうことや血栓が肺へ移動することがあり、肺血栓塞栓症になってしまうこともあります。重症の場合は、死に至ることがあります。そのため、予防は重要です。

 予防方法:早期離床、弾性ストッキングの着用、足関節の背屈運動 など

・脱臼

 THA、BHAの場合は術後、脱臼危険性があります。脱臼の頻度としては、初回1~5%、再置換術後5~15%とされている。それほど高い確率ではないですが可能性が0ではないため、ADL指導などの際には注意が必要です。

 手術方法によっても脱臼する肢位が違います。脱臼肢位とそれぞれ注意が必要なADL場面をまとめていきます。

前方、前側方アプローチ→ 伸展、内転、外旋

・高いものを取る際、台に昇って取る。

・歩行時の方向転換時、患側を軸足にしない。 など

後側方、後方アプローチ→ 屈曲、内転、内旋

・靴下、靴の着脱の際、脚を外に開き、内側から履く。ソックスエイドや靴べら使用。

・正座をする際、割座にならない。

・床から立ち上がる、床に座る際、患側は後方で伸ばしたまま立ち、座りを行う。 など

まとめ

 今回は、臨床で多く見るであろう大腿骨頸部骨折の病態、手術についてまとめました。患者を治療する前にその疾患、手術方法などを知ることで多くの情報が得られます。また、リスクを知ることで介入時に気を付けいないといけないところもわかってきます。治療する前に確認必要ですね!

 ぜひ、基本的なことですが参考にしてみてください!