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整形外科テストをどう使う~股関節の疼痛、筋短縮を鑑別する方法~

 臨床の現場において、問題点が見つかり、治療を行いたいと思うが実際にどの組織が原因であるかがわからないということは、若手のうちはよくあることではないでしょうか。そんなときは、基本に立ち返り、学校で習う、整形外科的テストを活用してみるとよいと思います。整形外科的テストを利用することで、詳しく評価する部位や治療する部位が絞られてくるので、短い時間でより正確な評価ができると思います。

 なので、今回は、よく利用される整形外科的テストを紹介し、どのように利用していくかをまとめていきます。

 

股関節筋の短縮を見るテスト

  股関節の可動域制限がみられた場合、制限となる因子がどこにあるかを評価する必要あります。筋の短縮が制限因子の場合、整形外科テストを利用し、原因筋を鑑別することが可能です。

Thomas Test

  Thomas testとは、腸腰筋の短縮を確認するテストです。

 腸腰筋は、腸骨筋と大腰筋の2つの筋肉から構成されています。腸骨筋は腸骨窩、大腰筋は、Th12~L5までの椎体が起始部であり、両方とも小転子に停止します。股関節の屈曲、外旋に作用します。

 Thomas testにて検査側と反対の股関節を屈曲することで、骨盤が後傾します。骨盤が後傾することで、検査側の股関節は相対的に伸展位となります。そのため、腸腰筋の短縮により股関節が伸展できない場合、腸腰筋が引っ張られ、大腿部がベッドから持ち上がります。

 

陽性→腸腰筋の短縮

 

〈方法〉

 検査肢位は、背臥位。検査側と反対の膝・股関節を屈曲させる。その時、検査側の大腿部がベッドから持ち上がった場合、陽性となります。

Ely test

  Ely testとは、大腿直筋の短縮を確認するテストである。

 大腿直筋は、下前腸骨棘と寛骨臼上部が起始部であり、脛骨粗面に停止します。股関節を屈曲、膝関節を伸展に作用します。

 腹臥位では、股関節が伸展位となり、その状態で膝関節を屈曲することで大腿直筋が伸張位となります。大腿直筋の短縮があると、股関節の伸展ができなくなるため、膝関節を屈曲するにつれ、お尻が持ち上がり、尻上がり現象がみられます。大腿直筋は、大腿部を固定した場合、骨盤を前傾する作用を持ちます。そのため、骨盤を固定せずにテストを行う場合は、完全に伸張された状態になりにくいということです。そのため、骨盤を後傾に保持した状態でテストを行うとより評価の信憑性は上がります。

 

陽性→大腿直筋の短縮

 

〈方法〉

検査肢位は、腹臥位。検査側と反対側の下肢をベッドからだし、股関節を屈曲位とし、骨盤を後傾位に保持する。検査側の膝関節を屈曲させ、お尻が上がってくるかどうか確認する。お尻が上がってくる場合は、陽性である。

 

Ober test

 Ober testとは、大腿筋膜張筋の短縮を確認するテストです。

 大腿筋膜張筋は、上前腸骨棘が起始部であり、脛骨粗面外側のガーディ結節に停止します。股関節の屈曲、外転、膝関節の屈曲に作用します。

 通常の検査側を上にした、側臥位おとり、股関節、膝関節屈曲位とし、膝がベッドにつくかどうかを確認し、ついた場合には陽性となります。大腿筋膜張筋は、大腿部を固定した場合、骨盤を前傾する作用を持ちます。つまり、骨盤を固定せずにテストを行う場合は、完全に伸張された状態になりにくいということです。そのため、骨盤を後傾位に保持した状態でテストを行うとより評価の信憑性は上がります。

 

陽性→大腿筋膜張筋の短縮

 

〈方法〉

 検査肢位は、検査側下肢を上にした側臥位。非検査側の下肢の股関節・膝関節を屈曲位とし、骨盤を後傾に保持する。検査側の股関節・膝関節を屈曲位とし、ベッドに膝がつくかどうかを確認する。膝がベッドにつく場合は、陽性となります。

股関節疼痛を見るテスト

 股関節周囲に疼痛がみられる場合、術後などの明らかな原因がない場合、疼痛がなにからくるものなのかを評価する必要があります。FADIR test、FABER testを利用することで、股関節に原因があるのか、仙腸関節に原因があるのかを鑑別することができます。それにより、評価、アプローチする部位が絞られてくると思います。しかし、このテストのみでは、明確な原因を判断することはできないため、圧痛所見などを組み合わせてさらに、正確性のある評価を行っていく必要があります。

 

FADIR test

 このテストは、股関節を屈曲・内転・内旋位へ動かしたときに疼痛が出現するかどうか見るテストです。陽性の場合、仙腸関節障害もしくは股関節前方のインピンジメントが疑われます。仙腸関節へのストレスや股関節の関節唇、関節包、靭帯の損傷によって疼痛が出現します。また、股関節屈曲・内転・内旋方向へ動かすことで殿筋群、外旋筋群の伸張され、上殿神経、下殿神経が絞扼され、後面に疼痛が出現する場合もあります。

 

 陽性→・仙腸関節障害

    ・股関節の関節唇、関節包、靭帯の損傷

    ・上殿神経、下殿神経の絞扼   

       

〈方法〉

 検査肢位は背臥位です。検査側の膝関節屈曲位の状態で、股関節を他動的に90°屈曲位もしくは、最大屈曲位とし、さらに内転・内旋方向へ動かす。

 

FABER test

 このテストは、股関節を屈曲・外転・外旋位へ動かしたときに疼痛が出現するかどうかみるテストです。陽性の場合、仙腸関節障害、股関節障害が疑われます。仙腸関節へのストレスや股関節に何らかの障害がある場合に疼痛が出現します。

 仙腸関節と股関節障害を鑑別する方法としては、骨盤を固定した場合と骨盤を固定しない場合でテストを行い、疼痛の変化を確認します。骨盤を固定することで仙腸関節へのストレスを軽減することができます。そのため、骨盤を固定した状態で疼痛が出現した場合には、股関節障害が疑われます。疼痛が軽減、消失した場合には、仙腸関節が疑われます。

 

(骨盤固定なし)陽性→・股関節障害 

                                        ・仙腸関節障害

              

(骨盤固定)→陽性→股関節障害   

                       陰性→仙腸関節障害

 

〈方法〉

 検査肢位は背臥位です。検査側の股関節を他動的に屈曲・外転・外旋させ、反対側の膝の上に検査側の足部をおきます。股関節を開排するようにストレスを加えます。

 骨盤を固定する際は、後方から前方へ向かって固定し、後傾しないように固定します。

 

圧痛所見

  圧痛を評価することで筋由来の疼痛を評価することができます。筋肉を押すことで、筋肉の内圧が上昇し、疼痛を誘発し、疼痛の原因となる筋を評価していきます。筋内圧が上昇する要因としては、①筋損傷により筋が腫れている、②筋が攣縮状態である、③筋膜などの筋周囲組織が硬いの3つです。①は、明らかな組織損傷があり原因がはっきりしているものです。②③は、姿勢などにより異常な筋へのストレスが長きわたり加わることで起こるものです。そのため、圧痛の評価に加え、組織損傷があるかなども合わせて確認し、①か②③のどちらによって筋内圧が上昇しているか判断する必要があります。

 

陽性→筋由来の疼痛

 

〈方法〉

 対象の筋を伸張位とし、筋肉を圧迫し、疼痛の有無を評価します。

例:腸腰筋の圧痛評価。背臥位にて検査側の下肢をベッドからだし、股関節を伸展位とする。その状態で、筋を圧迫し、疼痛の有無を確認する。

 

まとめ

 今回は、股関節の疼痛、筋短縮を評価する整形外科テストをまとめました。整形外科テストを利用することで、原因を絞ることができ、より正確性のある評価が可能となると思います。しかし、一つのテストだけでは、判断することは困難であるため、いくつかの評価を組み合わせる必要があります。

 原因がわからずに、硬い部位をほぐすや痛い部位をほぐすなどやってしまうことがあるという方は、明日から一つでも利用して、評価してみて下さい。

 

今回参考にした本はこちら

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。コメントお待ちしておりま。