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整形外科テストをどう使う~下肢の神経症状の鑑別~

  前回に続いて、整形外科テストの使い方をまとめていきます。今回は、下肢の痺れ・疼痛などの神経症状を鑑別するための整形外科テスト。

 回復期では、既往歴に腰部疾患がある患者であれば、痺れ・疼痛の原因は、予測されます。しかし、既往歴に腰部の疾患はないが、下肢の痺れ・疼痛、感覚障害の訴えが聞かれることがあります。そんな時、痺れ・疼痛の原因は何かを評価しなければなりません。

 そのため、今回は、下肢の神経症状が見られる疾患と評価する方法を整形外科テストを用いてまとめていきます。

 

 前回の記事はこちらからどうぞ。

股関節の疼痛、筋短縮を評価する整形外科テストについてまとめてあります。

fuji-riha.hatenablog.com

 

 腰部疾患による神経症

 神経症状がみられる腰部疾患としては、椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などがあります。これらの疾患は、何らかの病変により脊髄が圧迫されることで神経症状がみられ、障害されている高位によって感覚障害、筋力低下がみられる部位が異なります。なので、下記の整形外科的テストによって、腰部疾患が疑われた場合、感覚検査、筋力検査に加え、腱反射テストを合わせて行い、障害されている高位を確認します。

 また、椎間板ヘルニアは、体幹の屈曲で痺れ・疼痛が増強し、脊柱管狭窄症は、体幹を伸展で痺れ・疼痛が増強します。このように、体幹の屈曲・伸展のどちらで痺れ・疼痛が強くなるのかを確認することも、疑われる疾患を鑑別する方法になります。

 

筋力検査

大腿四頭筋の筋力低下  →L3

・前脛骨筋の筋力低下   →L4

・長母趾屈筋の筋力低下  →L5

・下腿三頭筋の筋力低下  →S1

 

感覚検査

・下腿内側の感覚障害        →L4

・下腿外側~足背内側の感覚障害   →L5

・足背外側~足底の感覚障害     →S1

 

腱反射検査

・膝蓋腱反射の減弱    →L4

・アキレス腱反射の減弱  →S1

 

SLRテスト

 SLRテストとは、膝関節伸展位にて他動的に股関節を屈曲させ、疼痛が出現するかどうか確認するテストです。下肢伸展挙上により、坐骨神経が伸張され、大腿後面に疼痛みられます。疼痛がみられた場合、陽性であり、腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、脊椎すべり症などの腰部疾患が疑われます。

 

陽性→腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアなどの腰部疾患

 

〈方法〉

 検査肢位は、背臥位。検査側の膝関節伸展位の状態で、股関節を他動的に屈曲させ、下肢挙上位とします。その際の疼痛の有無を評価します。

ブラガードテスト

 SLRテストと同様に、下肢伸展挙上の状態にて足関節を背屈させ、疼痛が出現するかどうか確認するテストです。疼痛が出現した場合、陽性あり、腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、脊椎すべり症などの腰部疾患が疑われます。

 SLRテストとブラガードテストの両者が陽性の際は、椎間板ヘルニアが疑われます。

 

陽性→腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアなどの腰部疾患

 

〈方法〉

 検査肢位は、背臥位。検査側の膝関節伸展位の状態で、股関節を他動的に屈曲させ、下肢挙上位とします。その肢位にて足関節を背屈させ、疼痛の有無を評価します。

 

大腿神経伸展テスト

大腿神経伸張テストは、腹臥位にて膝関節屈曲位で股関節を伸展した際、疼痛が出現するかどうか確認するテストです。疼痛が出現した場合には、陽性で、上位椎間板ヘルニアなど上位腰椎に異常が疑われます。このテストは、大腿神経の絞扼がみられる場合でも陽性となるので鑑別が必要です。。

 

陽性→上位腰椎椎間板ヘルニアなどの上位腰部の疾患

 

〈方法〉

 検査肢位は、背臥位。検査側の膝関節屈曲位にて、股関節を伸展し、疼痛の有無を評価します。

 

梨状筋症候群による神経症

 梨状筋症候群とは、梨状筋が何らかの原因で硬くなり、神経を圧迫してしまうことによって神経症状がみられる疾患です。この疾患では、梨状筋の下方を通る坐骨神経が障害されることが多いですが、他にも上殿神経、下殿神経も梨状筋の下方を通るため、同一の疾患でも症状がみられる部位が異なる場合があります。

 

疼痛がみられる部位 

・臀部から大腿後面→坐骨神経

・臀部の外側   →上殿神経

・臀部の内側   →下殿神経

 

内旋 SLR test

 内旋SLR testとは、SLRを行った状態で股関節を内旋させ、疼痛が出現するかどうかを確認するテストです。腰部疾患でも示した通り、SLR testが陽性であった場合、腰部疾患の可能性も示唆されます。しかし、梨状筋症候群においても腰部疾患よりは、軽度ではあるが疼痛がみられる場合があります。そのため、腰部疾患との鑑別が必要です。鑑別する方法としては、通常のSLRを行い、さらに股関節を内旋させることで疼痛が変化するかを確認します。疼痛が増強する場合には、梨状筋症候群が疑われます。

 

内旋SLR     test→・疼痛が強くなる→梨状筋症候群

        ・変化なし     →腰部疾患

 

〈方法〉

 検査肢位は背臥位。検査側の下肢を膝伸展位の状態で股関節を屈曲していき、下肢を挙上させます。下肢伸展挙上位の状態で、股関節を内旋させ、疼痛の変化を確認します。

 

フライバーグ test

  Freiberg testは、股関節を屈曲・内転・内旋させ、疼痛が出現するかどうか確認するテストです。股関節を屈曲・内転・内旋方向へ動かすことによって殿筋群、外旋筋(梨状筋除く)が伸張され、上殿神経、下殿神経、坐骨神経が圧迫、牽引されます。そのため、陽性の場合は、疼痛が出現します。

 

陽性→・梨状筋症候群

 

〈方法〉

 検査肢位は背臥位。検査側の股関節を屈曲・内転・内旋方向へ他動的に動かす。動かした際の疼痛の有無を評価する。

 

圧痛所見

 梨状筋症候群が疑われた場合、「どの組織が原因で疼痛が出現しているのか」を評価する必要があります。そこで圧痛所見を利用し、原因を特定していきます。

 下記の図のように、上殿神経は、梨状筋と中殿筋の間を通り、下殿神経、坐骨神経は、梨状筋と上双子筋の間を通ります。坐骨神経は、梨状筋の中央付近を通過しており、下殿神経は、中央より内側を通過していることがわかります。

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 神経が通過している部位を圧迫し疼痛がみられるか評価していきます。梨状筋の上縁で、仙骨縁から2横指外側にて圧痛がみられる場合は、上殿神経の障害が疑われます。梨状筋の下縁で、中央辺りを圧迫し疼痛がみられる場合は、坐骨神経障害が疑われます。梨状筋の下縁で、内側を圧迫し疼痛がみられる場合には、下殿神経の障害が疑われます。

 

仙骨縁から2横指外側にて圧痛 → 上殿神経

・梨状筋の中央辺りにて圧痛    → 坐骨神経

・梨状筋の内側にて圧痛      → 下殿神経

 

大腿神経障害による神経症

 大腿神経は、腸腰筋の上を走行し、鼠経靭帯、縫工筋、恥骨筋からなるスカルパ三角を通り、大腿動脈のすぐ外側を走行します。そこから、外側と内側へ分岐し、外側は大腿直筋腱の下を通り、中間広筋、外側広筋を支配します。内側への分岐は、大腿直筋の下を通らずに内側広筋を支配し、前皮枝、伏在神経へとつながります。

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 大腿神経の絞扼が起きる部位は、2つあります。鼠径部と大腿直筋腱の下です。この2つの部位では、神経により支配される範囲が異なるため、症状が異なります。どちらの部位で鑑別するために整形外科テストに加え、筋力検査、感覚検査が重要です。

大腿神経障害にてみられる、筋力低下、感覚障害の部位を下記に示します。

 

筋力検査

大腿四頭筋の筋力低下

外側広筋、中間広筋の筋力低下が著名な場合→大腿直筋の下での絞扼

(股関節内旋位での膝関節伸展筋力検査)

 

感覚障害

・大腿前面~下腿内側の知覚障害→鼠径部での絞扼

(大腿直筋の下での絞扼では、知覚神経が障害されないため、感覚の障害は見られない)

 

大腿神経伸張テスト

 大腿神経伸張テストは、腹臥位にて膝関節屈曲位で股関節を伸展した際、疼痛が出現するかどうか確認するテストです。大腿神経は、股関節の前面を通るため、股関節伸展することで伸張され疼痛が出現します。そのため、陽性の場合には、疼痛が出現します。このテストは、上位腰椎に異常がある場合にも陽性となるため、鑑別が必要です。

 

陽性→大腿神経の絞扼、上位腰椎の疾患

 

〈方法〉

 検査肢位は、背臥位。検査側の膝関節屈曲位にて、股関節を伸展し、疼痛の有無を評価します。

圧痛所見

 鼠経部での絞扼か、大腿直筋の下での絞扼かを判断する際に圧痛所見を利用し、原因を特定していきます。

 鼠径部にて大腿動脈の外側を圧迫した際に疼痛がみられる場合は、鼠径部での絞扼が疑われます。大転子の下方で、大腿筋膜張筋と大腿直筋の間を圧迫した際に疼痛がみられる場合は、大腿直筋の下での絞扼が疑われます。

 

・大腿動脈の外側にて圧痛      →鼠径部での絞扼

・大腿筋膜張筋と大腿直筋の間にて圧痛→大腿直筋腱の下での絞扼

 

まとめ

 今回は、下肢の神経症状が見られる症例に対して、整形外科テストを用いて評価する方法をまとめました。整形外科テストを利用することで、原因を評価することができます。しかし、1つのテストだけでは、判断が困難であるため、いくつかのテストを組み合わせて、より正確な評価をする必要があります。

 また、梨状筋症候群や大腿神経の障害は、理学療法によって改善が見込めます。しかし、椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの腰部疾患は、理学療法で症状が改善することもありますが、器質的変化が見られる場合、外科的な治療が必要になってきます。そのため、腰部疾患による神経症状が疑われた場合は、一度ドクターに確認した方が良いです。

 下肢の神経症状が、理学療法にて改善できるのかどうかを確認するためにも、整形外科テストは必要ですね!

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。コメントお待ちしております!